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 ロシアのウクライナ侵攻により、両国で事業を展開する日系企業への影響が広がっている。ウクライナに拠点を持つ企業では工場の操業停止などが相次いでおり、ロシアに進出した企業やロシア企業との取引がある会社は今後、同国への経済制裁の影響を受けそうだ。建設関連企業への影響を探った。

2022年3月1日にロシア軍の攻撃を受けたとされるキエフのテレビ塔。ウクライナ内務省がSNS(交流サイト)上に投稿した(写真:ウクライナ内務省)
2022年3月1日にロシア軍の攻撃を受けたとされるキエフのテレビ塔。ウクライナ内務省がSNS(交流サイト)上に投稿した(写真:ウクライナ内務省)
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 ウクライナでは日本工営が2件のプロジェクトを抱えている。ボルトニッチ下水処理場改修事業の入札支援・施工監理業務と、同国の廃棄物管理能力の向上支援業務だ。前者については入札支援段階で、工事などは始まっておらず、以前からリモートワークで対応していた。後者についてもリモートで対応する予定だった。

 日本工営コーポレートコミュニケーション室は2月25日時点で「いずれのプロジェクトについても実施機関から中断の指示は無く、我々は指示を待っている状況だ。日本人スタッフはコロナ禍などのため、既に日本に引き揚げていた」などと説明する。

 では、ロシアと取引がある企業はビジネスへの影響をどのようにみているのか。日本政府は3月1日時点で、プーチン大統領など6人やロシア連邦中央銀行など3行の資産凍結に加え、49団体への輸出禁止などの制裁措置を講じると発表している。欧米と協調し、ロシアの大手銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する方針も表明しており、ロシアへの包囲網が狭まっている。

 大手建築設計事務所の日建設計(東京・千代田)は、ロシアで複数の大規模プロジェクトを抱えている。進行中の案件の1つに、ロシア最大手銀行のズベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)のプロジェクトである「ズベルバンクシティー・コンプレックス」がある。日本政府は3月1日時点でズベルバンクを資産凍結などの対象にしていないが、米国は既に同行を金融制裁の対象としている。

 このほか日建設計では、ロシアの大手石油企業ガスプロムネフチの施設や、モスクワ・リジスキー駅の貨物ヤード跡地の再開発プロジェクトに加え、民間デベロッパーの案件が進行中だ。

 日建設計は日経クロステックの取材に対して、「現地でプロジェクトは止まっていない。状況が刻々と変わるので、当面は動きを注視しつつ、案件ごとに対応方針を検討する」と回答している(3月1日時点)。

「ズベルバンクシティー・コンプレックス」の国際デザインコンペにおける日建設計の提案(資料:日建設計)
「ズベルバンクシティー・コンプレックス」の国際デザインコンペにおける日建設計の提案(資料:日建設計)
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