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 政府の国家戦略特別区域諮問会議(議長:岸田文雄首相)は2022年3月10日、「スーパーシティ」構想の区域に、インターネット投票などを提案した茨城県つくば市と、空飛ぶクルマの実装やドローンを活用した建設現場の革新などを提案した大阪府・大阪市を指定すると決めた。

 選定に当たって専門調査会の委員からは、提案に一定の評価を下しつつも「総花的」「無難」といった厳しい意見が上がっており、未来を先取りした先端的な都市を実現するという当初の構想はぶれつつある。

国家戦略特別区域諮問会議に出席した岸田文雄首相。アジア成長研究所の八田達夫理事長ら有識者議員から「『これが日本政府の描く未来社会である』と、世界に胸を張って提示できるレベルには達していない」といった厳しい意見が出た(写真:首相官邸)
国家戦略特別区域諮問会議に出席した岸田文雄首相。アジア成長研究所の八田達夫理事長ら有識者議員から「『これが日本政府の描く未来社会である』と、世界に胸を張って提示できるレベルには達していない」といった厳しい意見が出た(写真:首相官邸)
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 スーパーシティとは、AI(人工知能)やビッグデータを活用し、30年ごろに実現される未来社会を住民目線で先行構築する構想。政府は実現のために区域を指定し、必要な規制改革を実施する。

 当初は21年4月16日に公募を締め切り、同年夏の区域指定を目指していた。しかし、同年8月6日の専門調査会では、「大胆な規制改革の提案が乏しかった」などとして、提案した31団体に対して再提案の要請を決定。28団体が応じた経緯がある。

つくば市の提案資料。「つくばスーパーサイエンスシティ構想」を掲げた。インターネット投票など、先端的なサービスの実装を目指す(資料:つくば市)
つくば市の提案資料。「つくばスーパーサイエンスシティ構想」を掲げた。インターネット投票など、先端的なサービスの実装を目指す(資料:つくば市)
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 指定先に決まった2団体は、どのような構想を掲げたのか。つくば市は、「つくばスーパーサイエンスシティ構想」を提案した。市全域を対象として、インターネット投票のほか、ロボットやドローンによる自動配送、パーソナルモビリティーを活用した移動サービスなどの実現を目指す。

 決定を受けてつくば市の五十嵐立青市長は「つくば市がスーパーシティ型国家戦略特別区域として認めていただいたことは大変光栄であると同時に、大きな期待と重責に身が引き締まる思い」などとコメントを発表した。

 大阪府・大阪市は大阪・関西万博予定地の夢洲(ゆめしま)と「うめきた2期」の開発エリアを対象に、スーパーシティ構想に取り組む。目玉の1つである「夢洲コンストラクション」では、資材運搬や測量、工事管理や現場の見守りなどでドローンやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを活用し、工事の円滑化・効率化を目指すとしている。このほか、AIを活用した作業員の健康管理や、自動運転バスでの貨客混載運送などを提案した。