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スタートアップ企業のセレンディクス(兵庫県西宮市)は、建設3Dプリンターを使って球状の小規模住宅「Sphere(スフィア)」を施工した。同社が実際の住宅を建設するのは初めてだ。3Dプリンターでつくった部材を建設地で組み立てる施工にかかった時間は23時間12分。施工を担当したのは百年住宅(静岡市)、楓工務店(奈良市)、辺重(ナベジュウ、群馬県太田市)などだ。愛知県小牧市にある百年住宅の工場に建設した。
セレンディクスが建設3Dプリンターを使って建設した球状の小規模住宅「Sphere(スフィア)」(写真:セレンディクス)
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3Dプリンターで部材を製作する様子(写真:セレンディクス)
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スフィアの原材料はモルタルで、建設3Dプリンターで外壁などの部材を工場でつくり、建設現場に運んだ。躯体(くたい)全体の重量は約20トンに及ぶ。4つの部材で構成し、現地で重機を使って組み立てた。躯体の設置後、内装や窓、ドアを取り付けた。屋根に当たる上端部分は躯体がないためツーバイフォー材と合板で塞いだ。
構造形式は、鉄筋コンクリート(RC)造だ。3Dプリント部分は、内外壁兼打ち込み型枠の役割を果たす。球状の構造は一般の住宅に比べて頑強であり耐震性も十分備えているという。今後、実物大の建物で耐震性を確かめる実験を行う考えだ。また、躯体には断熱材も組み込んでおり、日本よりも厳しいオランダの断熱基準をクリアしているという。
建設地は百年住宅の小牧工場の敷地内だ(写真:セレンディクス)
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3Dプリンターでつくった部材を、コンテナトラックに載せて陸送した(写真:セレンディクス)
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クレーンを使って躯体の部材を建設地に搬入している様子(写真:セレンディクス)
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クレーンを使って躯体の部材を建設地に搬入している様子(写真:セレンディクス)
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躯体は4つの部材から成る。組み立てる作業は、3時間ほどで完了した(写真:セレンディクス)
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部材を組み立てる様子(写真:セレンディクス)
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床のコンクリートを打設する様子。クレーンでコンクリートバケットを真上からつっている(写真:セレンディクス)
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躯体が組み上がったところを上から見た。部材は一部中空となっているのが分かる(写真:セレンディクス)
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内側から見た様子。継ぎ目部分はシーリング材で隙間を埋めている(写真:セレンディクス)
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ツーバイフォー材と合板を使って屋根部分をつくった(写真:セレンディクス)
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