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 建築物の脱炭素化に向けて、運用時だけでなく、建設時の二酸化炭素(CO2)排出量を削減する動きが加速している。

 三井不動産と日建設計が共同で作成した「建設時GHG排出量算出マニュアル」は、こうしたトレンドを象徴している。同マニュアルは、建設時のCO2 排出量を資材ごとに積み上げ、簡単かつ詳細に算出できるのがポイントだ。対象とする建物はオフィスや商業施設、物流施設などの非住宅。マニュアルの目次イメージなどを2022年3月31日に公開した。

「建設時GHG排出量算出マニュアル」の目次(資料:三井不動産)
「建設時GHG排出量算出マニュアル」の目次(資料:三井不動産)
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 今後、建設時CO2排出量に関心を持つ研究者や不動産会社、建設会社、資機材メーカーなどと意見交換をしながらマニュアルの改良を進める。

 三井不動産は23年度中にも、同社のプロジェクトを受注した建設会社に、このマニュアルを用いたCO2排出量の算出を義務化する方針だ。

 CO2排出量を建物のライフサイクル全体で見れば、運用時の排出量が占める割合が圧倒的に大きい。このため、発注者にとっては運用時の対策が主要テーマだった。しかし、脱炭素に関する取り組みが加速するなか、建設時のCO2排出量にも目を向ける発注者が増えてきた。

 これまで建設時におけるCO2排出量の算出方法には、業界の統一基準がなかった。非住宅用では、日本建築学会が作成・公開している「建物のLCA指針」に基づく方法と、工事金額に環境省が定める排出原単位を乗じる方法などがある。ただし、それぞれ次のような課題を抱えている。