建材・住宅設備の価格高騰や納期遅延の影響で、工務店の経営が悪化していることが、全国建設労働組合総連合(全建総連)の調査で明らかになった。見積価格の上昇や不確実な納期が災いし、契約成立に至りにくいことが背景にある。
調査は2022年3月11日~4月15日に実施。35都道府県・1097社の工務店が回答した。回答企業は従業員4人以下の小規模事業者が86.8%を占める。また、年間売上高5000万円未満の企業が全体の6割超だ。
経営への影響については、20年と比較して21年に「利益率が下がった」が64.9%、「売上高が下がった」が45.1%を占め、いずれも「横ばい」「上がった」を上回った。
受注への影響も小さくない。49.8%の企業が21年3月と比べて「悪化」と回答。理由としては、「顧客が建材高騰の様子を見ている」が53.2%で最も多い。次いで「建材・設備などの納期が不確かで工期を設定できず受注を断っている」が44.4%、「工事金額が高くなり契約が成立しない」が43.4%だった。
利益率が下がったのは、値上がり分を価格転嫁できていないことが影響している。回答企業の約6割が、値上がり分の一部か全体を自社で負担していると答えた。負担割合は「全て」が14.5%、「50%以上」が8.7%、「50%未満」が36.5%だ。
価格転嫁できなかった理由を複数回答で聞いたところ、多い順に「既に見積書を提出していた」(75.2%)、「同業他社との競争があるため」(26.1%)、「価格交渉・契約変更に応じてもらえなかった」(11.3%)となった。
資金繰りに関する回答からも、経営環境の厳しさがうかがえる。「既に逼迫」が16.7%を占めたほか、「年末まで今の状況が続くと資金繰りが心配」が41.3%で最も多かった。