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 床面が完全に平たんなバリアフリー住宅を注文していたのに、玄関に高さ18cmの上がり框(かまち)があった――。建て主の両親が設計・施工者の住友不動産に損害賠償や慰謝料の支払いを求めた訴訟で、東京地方裁判所が同社に対して約486万円の損害賠償と慰謝料50万円の支払いを命じた。判決は2022年3月22日付。原告、被告ともに控訴している。異例の判決の詳細を解説する。

問題となった住宅の外観。原告の夫婦が息子を建て主として、住友不動産に設計などを依頼した(写真:栄枝総合法律事務所)
問題となった住宅の外観。原告の夫婦が息子を建て主として、住友不動産に設計などを依頼した(写真:栄枝総合法律事務所)
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2015年の上棟式の際に原告が住宅内を確認すると、玄関には高さ約18cmの上がり框があった(写真:栄枝総合法律事務所)
2015年の上棟式の際に原告が住宅内を確認すると、玄関には高さ約18cmの上がり框があった(写真:栄枝総合法律事務所)
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 判決文によると、原告の夫婦は室内などに段差が一切ない住宅の設計などを住友不動産に依頼した。交通事故で寝たきり状態になった息子を車椅子で移動させる際に少しでも段差があれば、衝撃でたんが気道に絡み窒息する恐れがあったからだ。

 原告は複数回の打ち合わせを経て、15年3月に息子を建て主として同社と工事請負契約を締結。しかし、同年7月の上棟式の際に原告が住宅内を確認したところ、玄関に上がり框が設けられていた。

 原告の抗議を受けて、住友不動産は段差を解消するための工事を実施。15年11月に引き渡したが、その前月に原告の息子は亡くなった。このため原告は「著しい不履行があり、息子を自宅に連れて帰ることがかなわなかった」などとして、住宅の建て替え費用や慰謝料など計約3300万円の支払いを住友不動産に求めた。

原告の抗議を受けて住友不動産は段差を解消するための工事を実施した(写真:栄枝総合法律事務所)
原告の抗議を受けて住友不動産は段差を解消するための工事を実施した(写真:栄枝総合法律事務所)
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