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 不動産クラウドファンディングサービスを運営するLAETOLI(ラエトリ、東京・港)が、東京・銀座で解体中の中銀カプセルタワービルの設計情報にひもづく非代替性トークン(NFT)の発行を検討していることが分かった。建物の設計を手掛け、設計図面を所有する黒川紀章建築都市設計事務所(東京・千代田)と組み、建物の3次元モデルを使った事業に乗り出す考えだ。アートやスポーツの世界で先行するNFTビジネスが建築の世界にも広がるか注目される。

 黒川事務所の高橋守男執行役員はLAETOLIと組むことについて、「黒川紀章が掲げたメタボリズム(新陳代謝)の考えを保存したいという点に賛同した」と語る。

中銀カプセルタワービルは解体工事が進行中で、2022年中に解体を終了する予定だ。22年4月21日に撮影(写真:日経クロステック)
中銀カプセルタワービルは解体工事が進行中で、2022年中に解体を終了する予定だ。22年4月21日に撮影(写真:日経クロステック)
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 21年12月、LAETOLIと黒川事務所はデジタル空間における中銀カプセルタワービルの保存に向けた取り組みを実施する協定を締結した。その後、22年6月下旬に建物のNFT事業に関する契約を交わした。

 NFTとは、唯一無二の価値を持ち、複製できないデジタル資産を意味する。アート作品などのコンテンツをデジタルデータと結びつけることで、データを「唯一無二の本物」と示すことができる。改ざんが難しいブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いることで、改ざんを防ぎながら2次流通もしやすくなる。

 中銀カプセルタワービルは1972年に竣工。11階建てと13階建ての2棟のタワーで構成される。各タワーのコア周りに合計140個のカプセルユニットを取り付け、独特な形状、構造を持つ。建築家の故・黒川紀章(1934~2007年)が設計を手掛けた。「メタボリズム建築」を代表する作品だ。

 建物は2000年代に、カプセルの外壁の内側などにアスベストが使用されていることが判明。建て替えの検討が進められていた。21年にビルの管理組合が敷地の売却を決定。22年4月に解体工事が始まり、年内に完了する予定だ。

2022年5月にはカプセルの取り外しが始まった。22年6月20日に撮影(写真:安川千秋)
2022年5月にはカプセルの取り外しが始まった。22年6月20日に撮影(写真:安川千秋)
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 同時期にLAETOLIは中銀カプセルタワービルが持つ建築的価値を生かし、建物のデジタルデータの保存・活用に取り組む活動を開始。黒川事務所に協力を持ちかけた。

 LAETOLIは7月中にNFTマーケットプレイス最大手の「OpenSea(オープンシー)」でオークション販売を開始し、国内外に買い手を募る予定。現在は売り出し価格などの詳細を詰めており、近く詳細を公表する予定だ。