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 神奈川県藤沢市が市道の範囲に誤りがある指定道路調書を公開したため、それに基づいて2018年8月に竣工した戸建て住宅の容積率と建ぺい率が限度を超過し、建築基準法違反になっていることが分かった。市は住宅の所有者に対して建て直しに要する費用など約2300万円を賠償する。22年5月30日に発表した。

藤沢市議会の2022年6月定例会に提出した議案。藤沢市は住宅の所有者に対して建て直しに要する費用など約2300万円を賠償する(資料:神奈川県藤沢市)
藤沢市議会の2022年6月定例会に提出した議案。藤沢市は住宅の所有者に対して建て直しに要する費用など約2300万円を賠償する(資料:神奈川県藤沢市)
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 指定道路調書は、建基法上の道路に関して、指定年月日や幅員などの情報を記載したもの。市道の範囲に関する誤記は、 道路境界線を設定する際の基準の取り方を誤ったために起こった。

 問題の道路はかつて幅員1.8mだったが、調書の作成前に住宅の敷地の対面側のみ1.1m拡幅を済ませ、2.9mの道路幅になっていた。本来は幅員1.8mの道路を基準とし、その中心から2m後退すべきだったが、誤って拡幅した道路幅を基準にしたため、道路境界線が正しい位置から55cm、道路側にずれた。市が道路用地の整備を進めていたところ、21年7月に問題が判明した。

 建基法では、建築物を幅員4m以上の道路に接して建てるよう定めている。幅員が4m未満の場合は道路の中心線から2m後退した線を道路境界線と見なし、敷地内であっても建築物を建てることはできない。

 調書は市が14年9月から17年2月にかけて国際航業に業務委託して作成したもの。市は17年11月から合計6896路線の調書を公開していた。

住宅は誤った指定道路調書に基づいて建てられたため、違反建築物となった(資料:神奈川県藤沢市の資料を基に日経クロステックが作成)
住宅は誤った指定道路調書に基づいて建てられたため、違反建築物となった(資料:神奈川県藤沢市の資料を基に日経クロステックが作成)
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