長谷工コーポレーションを代表とする長谷工グループは2022年6月13日、既存の集合住宅を改修して建物運用時のCO2排出量を実質ゼロとする工事に着手すると発表した。ESP総研(東京・港)の調査では、改修によるCO2排出量ゼロは日本で初めて。23年春に完成予定だ。
長谷工グループが所有するマンションを改修する。千葉県市川市に立地する集合住宅で、地上5階建て。鉄骨鉄筋コンクリート造で築32年の物件だ。他社の社宅として使用されていた物件を、リノベーション賃貸事業を想定して同グループが購入していた。改修事業の事業主は長谷工コーポレーションで、設計・施工を同グループの長谷工リフォームが手掛ける。事業費は非公表だ。
主な改修のポイントは「省エネルギー性能の向上」と「再生可能エネルギー活用」。2つを組み合わせてCO2排出量ゼロを目指す。
省エネ性能向上に向け、カバー工法によるLow-E複層ガラスやLED照明を採用する。内断熱性能向上のために吹き付け発泡ウレタン処理を、外断熱性能向上のために「RC×EX工法」を導入する。
RC×EX工法は長谷工コーポレーションとニチハが共同開発した外壁工法だ。外壁面に鋼製下地を設置し、その上に窯業系サイディング材を取り付ける。既存の外壁上から施工でき、既存タイルの廃棄削減に寄与する。今回のプロジェクトでは、断熱性向上と共に環境へ配慮している点も採用の理由になった。22年6月2日に両社が発表し、改修工事における採用は今回が初となる。
省エネ性能向上により強化外皮基準とZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション) Oriented相当の1次エネルギー消費量削減基準を満たすことで、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証の取得を目指す。