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 文部科学省が設置した「学校施設等の防災・減災対策の推進に関する調査研究協力者会議」(主査:中埜良昭・東京大学生産技術研究所教授)は、学校施設の水害対策に関する基本的な考え方を取りまとめた。2022年6月14日に文科省が中間報告を公表した。

 文科省大臣官房文教施設企画・防災部の田中佳幹参事官(施設防災担当)補佐は「水害対策をどうしたらいいか分からず困っている学校設置者に向けて、進め方を提示した」と説明する。

中間報告の公表と同日の2022年6月14日に文部科学省が出した通知。各都道府県の知事や教育長などに、学校施設の水害対策に取り組むよう促した(資料:文部科学省)
中間報告の公表と同日の2022年6月14日に文部科学省が出した通知。各都道府県の知事や教育長などに、学校施設の水害対策に取り組むよう促した(資料:文部科学省)
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 中間報告では、1000年に1回程度の頻度で発生する想定最大規模の降雨だけではなく、30年に1回あるいは10年に1回といったより発生頻度の高い降雨などにも着目すべきだとした。そのうえで、それぞれの浸水想定に対して具体的な対策を検討する視点が重要だと提言した。

 想定最大規模の降雨による浸水想定のみに着目した場合、浸水を防ぐことが技術的に困難であったり、膨大な費用がかかることが分かったりして対策が行き詰まってしまうケースがあるからだ。

 例えば1000年に1回程度の降雨による浸水被害に対しては事前避難などのソフト面で対応し、10年に1回程度と頻度の高い降雨については、止水板の設置や受変電設備のかさ上げといったハード面の対策を基本とする考え方を示した。