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 黒川紀章建築都市設計事務所(東京・千代田)は2022年7月21日、不動産クラウドファンディングサービスを運営するLAETOLI(ラエトリ、東京・港)と共同で、東京・銀座で解体中の中銀カプセルタワービルの設計情報にひもづく非代替性トークン(NFT)を7月22日から販売開始すると発表した。一定の条件を満たした上で、NFT購入者は建物の再現だけでなく、アレンジした建物でも建てられるようになる。

東京・銀座で解体中の中銀カプセルタワービルの設計情報にひもづく非代替性トークン(NFT)を2022年7月22日に販売する(画像:LAETOLI)
東京・銀座で解体中の中銀カプセルタワービルの設計情報にひもづく非代替性トークン(NFT)を2022年7月22日に販売する(画像:LAETOLI)
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メタバースで中銀カプセルタワーのデジタルアートを楽しんでもらう(動画:LAETOLI)

 中銀カプセルタワービルは1972年に竣工。2棟のタワーに合計140個のカプセルユニットを取り付けた独特な形状を持つ。建築家の故黒川紀章(1934~2007年)が設計を手掛けた。

 黒川事務所とLAETOLIは22年6月下旬に、建物のNFT事業に関する契約を締結。7月21日に販売内容の詳細を公表した。NFTとは、唯一無二の価値を持ち、複製できないデジタル資産を意味する。アート作品などのコンテンツをデジタルデータと結びつけることで、データを「唯一無二の本物」と示し、2次流通もしやすくなる。

 売り出すNFTは2種類ある。1つは国内外で中銀カプセルタワービルを建設・所有する権利を黒川事務所が公認し、その権利とひも付けたNFTだ。NFTの購入者は、黒川事務所が所有する設計図面を基にした3次元CADデータを使い、解体前の建物と同じ物を別の場所に建てられる。

 さらに、異なる形にカプセルを組み合わせた建物の建設も認める。カプセルを建物から分離させて、仮設住宅や宿泊施設として運用するといった用途も想定している。

中銀カプセルタワービルのデジタルデータの販売イメージ(画像:LAETOLI)
中銀カプセルタワービルのデジタルデータの販売イメージ(画像:LAETOLI)
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 もう1つは、仮想空間で3次元モデルとして再現した中銀カプセルタワーをデジタルアート作品として利用する権利を黒川事務所が公認し、それとひも付けたNFTだ。建物やカプセルの3次元モデルを着色・装飾したり、アーティストと組んで新しいアート作品をつくったりすることを想定している。一部のカプセルを他者に貸し出し、アバターを介して居住体験を楽しんでもらうなど事業利用も認める。

黒川紀章建築都市設計事務所とLAETOLIはカプセルを組み合わせた建物を新築する権利をNFTで販売するに当たってコンセプト動画をまとめた。ナレーションは故・黒川紀章(動画:LAETOLI)

 7月22日の午後1時に世界最大級のNFTマーケットプレイス最大手「OpenSea(オープンシー)」でオークション販売を開始し、8月31日の午後1時まで国内外に買い手を募る。売り出し価格は7月21日の正午時点で未定。中銀カプセルタワービル自体は既に22年4月から解体工事が始まり、年内に完了する見込み。