20世紀を代表するフランスのデザイナー、ジャン・プルーヴェ(1901~84年)の思考に迫る大規模展覧会「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」が、東京都現代美術館で2022年7月16日から始まった。会期は22年10月16日まで。プルーヴェが手掛けた家具や建築物など約120点を、図面やスケッチなどの資料と共に展示している。
プルーヴェはデザインだけでなく生産や施工のプロセスを重視し、カーテンウオールの開発や建築部材の工場生産、数人で施工できる組み立て式住宅の設計などに取り組んだ。またフランス・パリの文化施設「ポンピドゥー・センター」(1977年)の設計コンペで審査委員長を務め、レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャース(1933~2021年)の「ハイテック建築」を選出したことでも知られる。
建築の工業化を切り開いた人物として建築史に位置付けられるプルーヴェを、本展は7章構成で紹介する。前半の第1章から第3章では椅子を中心にプルーヴェが手掛けた家具がずらりと並ぶ。
展示には次のようなプルーヴェの言葉が登場する。「家具をつくることと家を建てることに違いはない。実際、それらの材料、構造計算、スケッチはとても似通っている」。この言葉通り、プルーヴェの家具デザインには建築の設計に通ずるエッセンスが凝縮されている。「組み立て式ウッドチェア CB22」(1947年)などが好例だ。