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 東レ建材(東京・中央)は2022年7月21日、不燃材料として00年に国土交通大臣認定を受けた窯業系サイディング(外壁材)について、認定仕様と異なる組成の製品を出荷していたと発表した。対象製品の認定番号は「NM-9744」。商品名は「完壁」だ。同社は同じ認定番号の製品を同業他社にOEM供給していた。

窯業系サイディング「完壁」の一例。不燃材料の大臣認定不適合が発覚した(写真:東レ建材)
窯業系サイディング「完壁」の一例。不燃材料の大臣認定不適合が発覚した(写真:東レ建材)
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 親会社の東レによる樹脂製品の品質不正問題を受けて 22年3月1日に内部調査を実施し、認定不適合の事実を把握。3月11日に国土交通省に報告したうえで、4月中旬にかけて、過去に販売した製品の組成を詳しく調査した。

 認定仕様と異なっていたのは、サイディングの基材に用いるパルプ混入フライアッシュセメント板の組成だ。生産時の記録が残っていた03年以降の製品を東レグループが調べたところ、認定取得時の組成と異なる製品を出荷し続けていたことが判明した。 品質改善などのために原料の割合を変更していたという。組成を変えた場合、国交省に新たな認定を申請する必要があるが、その手続きを怠っていた。

認定番号NM-9744で使用する基材の組成。これと異なる割合で製造、販売していた(資料:取材を基に日経クロステックが作成)
認定番号NM-9744で使用する基材の組成。これと異なる割合で製造、販売していた(資料:取材を基に日経クロステックが作成)
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 対象製品の販売総量は、他社への供給分も含めて約6800万m2に達する。東レ建材は対象製品を00年5月から生産しているが、02年以前の出荷分については、製造時の組成を示す記録がないため、認定に適合しているかどうかを確認できていない。