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 LIXILは2022年7月19日、太陽光発電をしながら窓部の日射遮蔽性や断熱性を高める「太陽光発電(PV)ロールスクリーンシステム」を開発し、自社のオフィスで実証実験を始めたと発表した。従来のロールスクリーンと同様に巻き取りが可能。屋内で後付けできるので、既存ビルの環境性能を手軽に向上できる。

PVロールスクリーンシステムの実寸大の展示(写真:日経クロステック)
PVロールスクリーンシステムの実寸大の展示(写真:日経クロステック)
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 同システムは、発電を担うPVロールスクリーン、スクリーンを既存の窓枠に据え付けるためのカバーフレーム、スクリーンとフレームの間を塞ぐ密閉レールから成る。窓ガラスを透過して室内に進入した太陽光の一部を、太陽電池が電力に変換する。発電しつつ室内への熱の侵入を抑制できるのが売りだ。発電した電力は、カバーフレームに内蔵した蓄電池にためる。電力は同フレームのUSBポートから取り出すことが可能だ。災害時などに簡単に使用できるようにして、BCP(事業継続計画)への寄与を狙う。

 PVロールスクリーンの左右両端は密閉レールで挟み込み、カバーフレームとの隙間を塞ぐ。これによってガラス窓との間に中空層をつくり出して簡易なダブルスキンとし、空調設備の負荷を低減したり、室内の快適性を高めたりする仕組みだ。中空層による断熱で、夏季は屋外の熱を室内に伝達しづらくする。冬季は窓と室内を遮ることでコールドドラフト(室内の暖かい空気が窓ガラスで冷やされて下降し足元にたまる現象)を抑える。

PVロールスクリーンの構成と効果。窓周辺の熱負荷を低減することで脱炭素に貢献する(資料:LIXIL)
PVロールスクリーンの構成と効果。窓周辺の熱負荷を低減することで脱炭素に貢献する(資料:LIXIL)
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 これまでの研究成果によると、PVロールスクリーンの発電能力は、厚さ3mmの単板ガラスの内側に設置した場合で64.8W/m2。日射熱取得率は窓ガラスと従来のスクリーンの組み合わせよりも約19%向上。断熱性能は窓ガラスのみの場合と比較して約44%向上するという。LIXILは実際の環境で性能を確かめる予定だ。

 実証実験は本社ビルの2階から7階で実施している。使用するスクリーンは計99枚、面積は計178m2。主に設置面積を広く確保できるビルの西面に設置している。スクリーンは太陽電池の紫色を標準に、青、緑、黄(金)、茶、銀、薄銀、白の計8色を準備した。各色について発電能力を検証する。実験は22年4月に開始。23年1月末までを予定している。

スクリーンのカラーバリエーション。計8色を用意し、発電能力の差異を検証予定だ(写真:LIXIL)
スクリーンのカラーバリエーション。計8色を用意し、発電能力の差異を検証予定だ(写真:LIXIL)
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