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 エレベーター大手のフジテックは2022年8月18日、レーザースキャナーでエレベーターロープの振れ幅を監視して停止の判断を正確に下し、地震時の運行休止時間を短縮する感知システムを開発したと発表した。対象は、「昇降機技術基準の解説(2016年版)」で長周期地震動への対策を求めている高さ120m以上の高層建築物。同社は22年4月に東京都内の超高層マンションに納入し、運用を始めている。

長周期振動感知器で感知した建物の揺れと、レーザースキャナーで計測したロープの振れ幅を総合的に判断し、エレベーターの運転方法を決定する(出所:フジテック)
長周期振動感知器で感知した建物の揺れと、レーザースキャナーで計測したロープの振れ幅を総合的に判断し、エレベーターの運転方法を決定する(出所:フジテック)
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 同社のエレベーターでは、長周期地震動が発生して揺れを感知すると、最寄りの階でドアを開き、運行を一時休止して利用者の閉じ込めを防止する仕組みを取り入れている。従来は、エレベーター機械室に設置した長周期振動感知器で建物の揺れを感知し、ロープの振れ幅の推定値を弾き出して、運行の停止や継続の判定に用いていた。推定値は安全側になるよう計算するため、実際の振れ幅より大きくなりがちで、安全に問題がなくても停止の判定を下すケースがあった。

 新たに開発した感知システムでは、運行を停止するか継続するかの判断に、スキャナーで計測したロープの振れ幅と、長周期振動感知器で感知した建物の揺れの両方を用いる。推定値ではなく実際の振れ幅を用いることで、精緻に判定できるようになった。

 具体的には、建物の揺れとロープの振れ幅のどちらからも安全なレベルだと判定すれば、運行を続ける。どちらか一方がエレベーターを停止すべきレベルに達した場合は止める。例えば、建物の揺れが小さくても、ロープの振れ幅が大きい場合には停止措置を取る。判定の基準となる揺れや振れ幅の詳細な数値は非公表だ。

 レーザースキャナーは、昇降路内の梁(はり)に2つ設置する。上下方向に分散して設けることで、一方のスキャナーと同じ高さにエレベーターのかごがある場合も、もう一方のスキャナーでロープを監視できるように工夫した。