全1075文字
PR

 東急建設と野原ホールディングス(東京・新宿)は共同で、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを用いた乾式壁のプレカット技術に関する検証を、増築工事の現場で実施した。検証は国土交通省の「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(パートナー事業者型)」の一環。2022年7月26日の成果報告会で東急建設が報告した。

工場でプレカットして一部を組み立てた軽量鉄骨(LGS)下地(写真:東急建設、野原ホールディングス)
工場でプレカットして一部を組み立てた軽量鉄骨(LGS)下地(写真:東急建設、野原ホールディングス)
[画像のクリックで拡大表示]
工場でプレカットした石こうボード。QRコードで設置箇所を管理する(写真:東急建設、野原ホールディングス)
工場でプレカットした石こうボード。QRコードで設置箇所を管理する(写真:東急建設、野原ホールディングス)
[画像のクリックで拡大表示]

 乾式壁は軽量鉄骨(LGS)下地に石こうボードを張ったもの。プレカットの導入によって、作業時間が従来工法に比べて40%減少した。現場で出た廃材量は、発注数量に対して二酸化炭素(CO2)排出量換算で4.6%削減できた。野原ホールディングス建設DX事業推進1部の片山俊担当課長は「高速カッターや工作用カッターの使用回数が減るため、騒音と労災の発生防止にも効果がある」と話す。

 検証は地上10階建て、延べ面積約1万2557m2の事務所ビルで実施した。構造種別は鉄骨造だ。増築後の延べ面積は約1万4640m2で、階数・構造は変わらない。

 検証の流れは次の通り。まずは東急建設が、既存・増築部分の意匠・構造・設備に関するBIMデータを作成した。既存部分と増築部分の境目に位置する鉄骨の柱・梁(はり)の測量には3次元レーザースキャナーを使用。取得した点群データを基にガセットプレートの長さを調整した。

左は増改築のイメージ。青色のフロアでは現場で乾式壁の部材をカットする従来工法を、ピンク色のフロア(4、5、8階)ではプレカット施工を検証した。右はBIMモデルに反映するため、既存の鉄骨を測量している様子(出所:東急建設、野原ホールディングスの資料を基に日経クロステックが作成)
左は増改築のイメージ。青色のフロアでは現場で乾式壁の部材をカットする従来工法を、ピンク色のフロア(4、5、8階)ではプレカット施工を検証した。右はBIMモデルに反映するため、既存の鉄骨を測量している様子(出所:東急建設、野原ホールディングスの資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]
左は既存建物の増築のために外壁を撤去し、露出した部分の点群データを取得・統合したもの。人手による測量値との誤差は5mm以内。3次元レーザースキャナーによる測量で十分な精度が得られた(出所:東急建設、野原ホールディングス)
左は既存建物の増築のために外壁を撤去し、露出した部分の点群データを取得・統合したもの。人手による測量値との誤差は5mm以内。3次元レーザースキャナーによる測量で十分な精度が得られた(出所:東急建設、野原ホールディングス)
[画像のクリックで拡大表示]