2022年9月15日、三井不動産は東京駅前に竣工した大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲」の内覧会を開いた。9月17日にバスターミナルと一部店舗が先行開業した。中央区立城東小学校は9月1日に開校済みだ。商業施設の全面開業は23年3月10日、日本初出店の「ブルガリ ホテル 東京」は同年4月の開業予定だ。
東京ミッドタウン八重洲は、東京駅八重洲口側の3地区で進行している市街地再開発事業の第1弾だ。三井不動産は、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として開発を推進している。街区全体の総事業費は約2438億円(21年10月公表時点)だ。
六本木や日比谷に続く3つ目の「東京ミッドタウン」ブランドとなる。コンセプトは「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」。国内外から人や情報、モノ・コトが集まり、新しい価値を発信する街づくりを目指す。
東京ミッドタウン八重洲には、八重洲セントラルタワーと八重洲セントラルスクエアの2棟がある。先行開業したのはセントラルタワーで、地下4階・地上45階建て、高さ約240mの超高層で、延べ面積は約28万3900m2。ホテル、オフィス、店舗、バスターミナル、小学校などが入る。マスターアーキテクトは米国の設計事務所Pickard Chilton(ピカード・チルトン)。基本設計から監理までを日本設計、実施設計と施工を竹中工務店が担当した。
日本設計第2建築設計群長の神林徹執行役員は外観コンセプトについて、「船の帆をイメージして建物に丸みをつけ、建物全体はガラスファサードを基調とした」と説明する。敷地前の外堀通りがかつては江戸城外堀の水路だったことに着想を得た。また、外装ののびやかな曲面は、東京駅前のグランルーフとも呼応するように意識されている。
さらに八重洲セントラルタワー低層部の上、高さ約31mに高木などを植えた緑の屋上テラスを設けた。かつて丸の内エリアなどで、建物の高さを31m以下にそろえる「百尺規制」が街の景観をつくっていたことを歴史として引き継ぐ。神林執行役員は、「これが八重洲の新たなデザインコードとなってほしい。今後も八重洲エリアで中高層ビルなどの開発が進むと思うが、高さ31m付近に緑が連続していく風景ができればいい」と語った。
地下1階から地上3階の商業施設57店舗のうち、日本初出店は6店舗、東京初出店11店舗、商業施設初出店21店舗、新業態9店舗。八重洲オフィスワーカーや来街者、国内外からの観光客、都心生活者の利用を想定する。先行開業した13店舗では、「カジュアルに楽しめる飲食や物販を用意し、短時間で便利に使えることを重視した」と三井不動産商業施設本部アーバン事業部長の牛河孝之氏は説明した。