ベナ(東京・板橋)は、同社の主力事業である建築模型製作とAR(拡張現実)コンテンツを組み合わせた新事業を開始したと2022年9月12日に発表した。物理的な模型が持つインパクトとARによる自在な表現を組み合わせることで、多様化する顧客ニーズに対応する。
マンションの模型の場合、デベロッパーや設計事務所などの顧客が要望するスケールで単色の模型を製作し、外観の完成イメージをARで表現。端末上で模型に重ね合わせて表示できる。テクスチャーのデータを複数用意しておけば、端末上で表示を切り替えるだけで、いくつもの外観パターンを検討することが可能だ。道路や公園など周辺市街地を模型でつくり、建物をARで表示して景観を検討したり、室内模型にインテリアやアメニティーを表示して間取りを検討したりと、顧客の要望に合わせてさまざまなスケールでサービスを提案する。
既存の模型とARを組み合わせることも視野に入れる。ベナの渡邊高明社長は「博物館や資料館に置かれているような街並みの模型は、最新の状況に更新されていないものが多い。ARで新しい情報を付加するといった活用方法もある」と説明する。
同社は数年前から建築向けのVR(仮想現実)コンテンツ製作に着手し、20年にはデベロッパーなどが展示用模型の大きさをARでシミュレーションできるアプリを開発するなど、建築模型のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んできた。同社開発事業部の渡邊健ITマネージャーは、「既に受注した案件もあり、AR事業には手応えを感じている。ARをきっかけにして、建築模型そのものの魅力を再認識してもらうことにもつながる」と期待する。