NTT西日本と建ロボテック(香川県三木町)は、建設ロボットの遠隔操作と、操作を支援する環境づくりを目的とした共同実験を開始した。人とロボットの協働で、建設業界の課題である人手不足の解消を図る。まずはロボットに必要な機能を実装し、ネットワーク環境の構築などに取り組む。実験期間は2022年9月26日から23年3月31日までを予定している。
NTT西日本の役割の1つは、ロボットの遠隔操作を行うために必要なクラウドロボティクス基盤の構築だ。クラウドロボティクスとは、ロボットを動かすための演算処理をクラウド上で実行する仕組み。同社はその基盤構築に初めて取り組む。遠隔操作に必要な制御技術や、操作側への映像配信技術についても検討を進めている。
実証実験には、建ロボテックが開発した鉄筋結束ロボット「トモロボ」を使用する。鉄筋をレール代わりに走行しながら、鉄筋工事における結束作業を担うロボットだ。同社はトモロボを遠隔操作に対応させるため、横方向の移動機能の実装を進めている。既存製品では、方向転換や作業列の変更時に作業員が補助する必要があった。
両社は23年1月末を目標に、必要な機能の検討や実装を終える予定だ。その後、建ロボテックが所有する実験場で、トモロボの遠隔操作に挑む。ロボットのオペレーターには、あえて建設業やロボット操作に明るくない人物を選び、誰でも簡単に操作できるか実証する予定だ。「22年度の実験結果を踏まえ、23年度以降のサービス実用化に向けた協議を進めたい」(NTT西日本イノベーション戦略室)
両社の出会いは、研究者の活動支援などを手掛けるリバネス(東京・新宿)が主催する超異分野学会。クラウドロボティクスで社会貢献をしようと意気投合し、22年9月の協定締結に至った。