政府は「新しい資本主義」の実現に向け、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の一部を改正する。PPP(官民連携)・PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の推進策を強化し、コンセッション(公共施設等運営権)事業で民間事業者が施設の改修や増設を実施しやすいようにする。2022年10月14日に改正案を閣議決定し、臨時国会に提出した。
改正案では、PFI事業の対象となる「公共施設等」の定義にスタジアムやアリーナといった「スポーツ施設」と、コミュニティーセンターや音楽ホールといった「集会施設」を追記。事業期間が長期にわたるコンセッションについては、技術革新や社会情勢の変化などを踏まえて、柔軟に施設の改修工事を実施できるように実施方針の「変更制度」の創設を盛り込んだ。
変更制度の創設によって、民間事業者はアリーナなどの観客席の増設や配置の変更、通路の拡張やエレベーターの増設といったバリアフリー対応を柔軟に行えるようになる。実施方針の目的から大きく逸脱するような建物の規模の変更はできない。
実施方針を変更する際は、民間事業者が施設所有者に変更提案書を提出する。提案書には、方針の変更によって得られる効果を示した評価資料の添付が必要だ。提案を受けた施設所有者は、「事業計画に支障が生じないか」「変更によって良質なサービスを提供できるようになるか」などを検討。施設所有者が提案を承認すれば実施方針を変更できる。
改正案について内閣府PPP/PFI推進室の担当者は、「自治体が管理するコミュニティーセンターや、全国で建設計画が立ち上がっているアリーナは街づくりの核となる施設だ。新設や改修需要が見込まれるこれらの施設を重点分野に位置づけた。民間の自由度を高めることで、質の高いサービスを提供できる施設を増やすことが目的だ」と説明する。
スポーツ施設について政府は、ZOZOマリンスタジアム(千葉市)や秋田県が建設予定の新県立体育館など約20の施設をリストアップ。コンセッションなどの活用拡大に向けて自治体にトップセールスを行い、22年12月末までにコンセッション活用時の手順や留意点を取りまとめたガイドラインを作成する予定だ。