2025年開催予定の大阪・関西万博で大阪府や大阪市などが出展する大阪パビリオンの建設費が膨れ上がっている。当初の想定より約40億円増えて、約115億円になる見込みだ。府は22年10月11日、資材高騰などを理由に建設費を増額する補正予算案を議会に提出。同26日に可決された。吉村洋文知事は、「府民のみなさんに対して申し訳ない」と述べた。同21日、市も同様の補正予算案を議会に提出している。
資材高騰などによる建設費の上振れ問題が浮上したのは22年8月ごろ。発注業務を担う一般社団法人「2025年日本国際博覧会大阪パビリオン」(以下、社団法人)が実施した建設工事に関する公募型プロポーザルで、応募者の竹中工務店が約195億円という見積もりを提案したのだ。22年5月公表のプロポーザル実施要項では、事業費の参考額として約74億円を示しており、約121億円の開きが判明した。
プロポーザルには竹中工務店を含めて2者が応募したが、技術提案書の受付期間に1者が辞退し、唯一、技術提案書を提出した竹中工務店が審査対象となった。審査では、選定委員会が価格点(90点満点)、実績審査評価点(40点満点)、技術提案審査評価点(170点満点)を合計して300点満点の総合評価点を付けることになっていた。
竹中工務店の総合評価点は「マイナス153.57点」。にもかかわらず、優先交渉権者に選ばれた。なぜこのようなことが起こったのか。府・市万博推進局の彌園(みその)友則局長が22年9月に市都市経済委員会で説明した内容によると、竹中工務店は実績審査で22点、技術提案審査で152点を得ていたが、価格点でマイナス327.57点もの減点を受けていた。
プロポーザルの実施要項に示されている価格点の算出方法では、見積もりが68億円未満であれば満点の90点、99億円以上でマイナスに転じる。同社は上述のように約195億円を提示したため、大幅なマイナスになったというわけだ。社団法人は竹中工務店が提示した見積価格について、「想定外だった」としている。