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 国土交通省主催の「関東の富士見百景」に選定された「富士見テラス」を併設する東久留米駅西口昇降施設で、次々に問題が発覚している。建設時に確認申請をしておらず、市道上に立っており、富士見テラスの耐震強度が不足しているなど、不始末のオンパレードだ。

市道104-1号の区域内に立つ東久留米駅西口昇降施設。左側の円柱形部分が富士見テラス(写真:日経クロステック)
市道104-1号の区域内に立つ東久留米駅西口昇降施設。左側の円柱形部分が富士見テラス(写真:日経クロステック)
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 東京都東久留米市の富田竜馬市長は2022年9月1日に「富士見テラスは除却と判断した」と説明。除却費など990万円を盛り込んだ補正予算案が9月28日の市議会本会議で可決された。

 2階建て、延べ面積約644m2の同施設は、東久留米市が1994年に整備した。円柱形をした鉄筋コンクリート造の富士見テラスと、駅のコンコースにつながる鉄骨造の昇降部から成る。西武建設(埼玉県所沢市)が施工した。設計者は不明だ。

 富士見テラスは市民が請願して実現した。市民グループがつくった陶板を外壁に張るなど、デザインにも要望が盛り込まれている。一連の活動に参加した女性は、「多くの市民に親しまれてきた思い出のある場所なので、このようなお粗末な手続きミスで除却されるのは残念でならない。これまでの歩みを何らかのかたちで残してほしい」と話す。

市内の陶芸グループが作った陶板を外壁に張っている。市内で発掘された縄文土器をモチーフにしたという(写真:日経クロステック)
市内の陶芸グループが作った陶板を外壁に張っている。市内で発掘された縄文土器をモチーフにしたという(写真:日経クロステック)
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 建築確認手続きの不備は、村山順次郎市議が2020年9月の市議会で明らかにした。19年に発覚した同様の問題を受けて、村山市議が別の施設も調べたところ、同施設が特定行政庁である東京都多摩建築指導事務所の管理する建築確認台帳に記載されていないことを突き止めた。

 これを受けて市が調査すると、同施設が市道の区域内に立っており、建築基準法44条に違反していると分かった。市は主な図面と工事監査報告書を見つけたものの、確認申請をしなかった経緯や委託先の設計事務所名はつかめなかったという。東久留米市都市建設部管理課の吉川雅継課長は、「現段階では、過去の経緯をこれ以上調べることよりも、早期の安全対策に注力している」と話す。