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 アキュラホーム(東京・新宿)は2022年11月5日、構造部分の多くを現(あらわ)しとする 「普及型純木造ビル」の5階建てモデル棟を、川崎住宅公園(川崎市)内にオープンさせた。木造軸組み工法による5階建てモデルハウスとしては日本初だ。同社は、一般流通木材と金物、プレカット加工技術を用いてコストを下げた木造ビルの商品開発に取り組んできた。延べ面積439.5m2のモデル棟はプロトタイプ。その実力を解剖した。

アキュラホームの宮沢俊哉社長の背後に立つのが、2022年11月5日にオープンした普及型純木造ビルの5階建てモデル棟。特徴はガラス越しに見える組子格子耐力壁。光と風を通す。賃貸併用住宅などを想定し、1階を店舗、2階を事務所、3階を賃貸住宅、4~5階をオーナー住戸で構成した(写真:安田 有)
アキュラホームの宮沢俊哉社長の背後に立つのが、2022年11月5日にオープンした普及型純木造ビルの5階建てモデル棟。特徴はガラス越しに見える組子格子耐力壁。光と風を通す。賃貸併用住宅などを想定し、1階を店舗、2階を事務所、3階を賃貸住宅、4~5階をオーナー住戸で構成した(写真:安田 有)
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 モデル棟の耐力壁は、組子格子耐力壁(壁倍率30倍相当、特許出願中)とCLT(直交集成板)耐力壁(同20倍相当)、2種類の合板耐力壁(同20倍と40倍相当)を組み合わせた。いずれも水平力のみを負担させることで、耐火被覆を省略している。

 組子格子耐力壁とCLT耐力壁は木の現しだ。さらに2階以上の柱の一部では、耐火被覆材に厚さ60mmのLVL(単板積層材)を用い、LVLを現しとした。全国LVL協会が国土交通大臣認定を取得した、1時間耐火構造の仕様だ。構造形式の基本的な考え方と組子格子耐力壁などは、東京大学の稲山正弘教授が開発している。

オーナー住戸を想定した4階のリビング。吹き抜けに面する外壁などに、組子格子耐力壁を配置している(写真:安田 有)
オーナー住戸を想定した4階のリビング。吹き抜けに面する外壁などに、組子格子耐力壁を配置している(写真:安田 有)
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店舗を想定した1階。右側の木の現し部分はCLT耐力壁(写真:安田 有)
店舗を想定した1階。右側の木の現し部分はCLT耐力壁(写真:安田 有)
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現場で躯体の施工を進めていた頃の様子(写真:アキュラホーム)
現場で躯体の施工を進めていた頃の様子(写真:アキュラホーム)
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