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 連日熱戦が繰り広げられるサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会。1次リーグでスペインとドイツ、コスタリカと同じ“死の組”に入った日本代表は、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで格上のスペインとドイツを撃破するといった歴史的アップセットを達成。1次リーグを1位で突破し、ベスト16入りを果たした。日本代表は「新しい景色を」という合言葉のもと、初のベスト8進出を目指して決勝リーグに臨む。悲願達成を懸けた試合が開催されるスタジアムにも注目だ。

 決勝リーグ初戦、日本代表がベスト8入りを懸けて戦うのはクロアチア代表だ。試合は2022年12月6日午前0時キックオフ(日本時間)。決戦の舞台は、故ザハ・ハディド氏が設計を手掛けたスタジアム「Al Janoub Stadium(アル・ジャヌーブ・スタジアム)」だ。

故ザハ・ハディド氏が設計を手掛けたAl Janoub Stadiumの外観。中東の伝統的な帆船である「ダウ船」をモチーフとしている(写真:Hufton+Crow)
故ザハ・ハディド氏が設計を手掛けたAl Janoub Stadiumの外観。中東の伝統的な帆船である「ダウ船」をモチーフとしている(写真:Hufton+Crow)
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 カタール東部のアル・ワクラに立つアル・ジャヌーブ・スタジアムは、幾層にも重なるプリーツが生み出す流線形の屋根と外壁が一体化したデザインが特徴だ。中東の伝統的な帆船である「ダウ船」をモチーフとしている。収容人数は最大4万人だ。

 屋根のデザインはダウ船を上下ひっくり返して抽象化した形状とし、日よけとシェルターの役割を持たせている。開閉式の屋根には、プリーツ加工したPTFE(四フッ化エチレン樹脂)膜を使用。屋根は約30分かけて徐々に開閉する。屋根を閉じることで、暖かい風がスタジアム内に入り込むことを防ぐ。

Al Janoub Stadiumの屋根外観(写真:Hufton+Crow)
Al Janoub Stadiumの屋根外観(写真:Hufton+Crow)
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開閉式の屋根にはPTFE膜を使用している。屋根全体の重さは約378トンで、開閉部分の長さは約92mだ(写真:Supreme Committee for Delivery and Legacy)
開閉式の屋根にはPTFE膜を使用している。屋根全体の重さは約378トンで、開閉部分の長さは約92mだ(写真:Supreme Committee for Delivery and Legacy)
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Al Janoub Stadiumの内観(写真:Hufton+Crow)
Al Janoub Stadiumの内観(写真:Hufton+Crow)
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 加えて、スタジアムには太陽光を動力として稼働する最先端の冷却システムを搭載。ピッチ脇と観客席の足元に通気口を設け、地上付近にたまりやすい冷気を施設内で循環させる。開閉式の屋根と冷却システムによって、夏場でも施設内の温度を18~24℃に保てるという。

Al Janoub Stadiumのピッチ脇に設けた通気口(写真:Supreme Committee for Delivery and Legacy)
Al Janoub Stadiumのピッチ脇に設けた通気口(写真:Supreme Committee for Delivery and Legacy)
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 W杯閉幕後には、スタンドの上部に設けた仮設席を撤去し、収容人数を最大2万人に縮小する。撤去した資材は海外のスタジアム建設などに再利用する計画だ。