国土交通省は2022年12月16日、「直通階段が一つの建築物等向けの火災安全改修ガイドライン」を公表した。21年12月17日に大阪・北新地で発生したビル火災を踏まえ、直通階段が1つしかない建築物の安全性を高めるのが目的。2方向避難の確保が難しい建物について、改修の考え方や仕様を詳細に示したのがポイントだ。
ガイドラインでは、直通階段が1つしかない既存不適格建築物などを対象に、直通階段の増設や避難に有効なバルコニーの設置が難しい場合の代替策として、「退避区画」の設置方法を示した。
退避区画とは、避難器具を用いた避難や消防隊による救助までの間、一時的な退避が可能なスペースのこと。既存の直通階段から一定程度離れた別方向に、居室単位か廊下を一定距離ごとに区画して設置し、区画を構成する間仕切り壁は準耐火構造などとする。内部には救助用の開口部を設け、消防法令に適合する避難器具を設置する。
戸は不燃材料でつくるか覆われたものとし、遮煙性能を確保。常時閉鎖式または煙感知器連動の随時閉鎖式で、開放後に自動で閉鎖するものを採用する。ガイドラインでは、近傍に火気使用室がある場合は20分間の遮炎性能を有する防火設備が望ましいとしている。