世界的な潮流になりつつあるEV(電気自動車)シフト。EVの普及には充電インフラの整備が欠かせない。国内では充電設備の普及が遅れていた集合住宅に目を付けた取り組みが活発になっている。
日産自動車と積水ハウスは2023年1月12日、集合住宅へのEV導入を促す「+e PROJECT(プラスイープロジェクト)」を開始した。第1弾として、EVと充電設備付きの集合住宅を無償で貸し出し、1泊2日で体験してもらうイベント「+e試住」を23年3月4日から実施する。
「食体験」「防災シミュレーション」「ペットとの暮らし」の3テーマで参加者を募集し、抽選で各テーマ2人、計6人を選ぶ。参加者は積水ハウスが横浜市に建てた「シャーメゾンZEH」ブランドの賃貸住宅に1泊2日で宿泊。イベント中の移動には日産のEV「LEAF(リーフ)」を使う。集合住宅でEVがある暮らしを体験してもらうことで、EVの普及につなげる。同プロジェクトの広報事務局は「今後の取り組みも検討中」とする。
このほか、集合住宅に充電設備を設置するまでの手順や費用、設置や運用サービスを手掛ける事業者などを紹介する特設サイトの公開も開始した。
今回のプロジェクトの立ち上げは、日産が22年10月~11月に実施した「EVの購入時に重要な住居の環境についての調査」の結果を受けたもの。EVの普及に当たって、集合住宅に充電設備が不足していることがネックになっていると明らかになった。
日産の調査では、集合住宅に住んでいて、EVを保有しているか購入を検討している30~50代の400人に対し、「EVを購入するうえで迷うポイント」を尋ねた。すると、「自宅で充電できない」を選んだ人が57.8%を占め、最も多かった。EVの購入を検討している350人のうち、集合住宅に充電設備がないため購入が難しいと感じる人は88.6%に上った。