東洋製缶グループホールディングス(GHD)と極地建築家の村上祐資氏が代表を務める特定非営利法人・フィールドアシスタント(横浜市)は共同で、宇宙空間の生活をシミュレーションする段ボール製の検証ユニットを開発した。複数の段ボール製テントを組み合わせて、基地を模した閉鎖的な居住空間をつくり、宇宙での生活や地上からのサポートの方法を検証する。2023年1月11日に発表した。
検証ユニットを構成する組み立て式段ボール製テント「DAN DAN DOME」は、仮設住宅やレジャー使用などを想定した製品だ。ねじやくぎ、工具を使わずに組み立てることができる。村上氏と東洋製缶グループに属する日本トーカンパッケージ(東京・品川)が共同で21年に開発した。村上氏は、開発した時点で、宇宙生活のシミュレーションに活用する構想を練っていたという。大規模な機械や施設がなくても、身近な材料である段ボールを活用することで、宇宙生活の検証が可能なことを示す意図がある。
宇宙空間の検証に用いるテントは4畳半程度(約15m2)の面積で、平面は円形だ。これは、観察・サポートする管制側にとって都合がいいという。「4畳半程度ならば、各人の行動に目が届きやすい。円形だと部屋に死角ができづらく、全体を把握できる」と、村上氏は説明する。テント内部の色も、観察する側の負荷を抑えるために多色を避け、白色に統一した。
検証ユニットは、複数のテントを段ボール製の通路用のパーツでつないで構成する。今回は、東洋製缶グループのサテライトオフィスに2棟のテントを設置した。一方は主にワークスペースや食堂用とし、もう一方はリラックスできる居間のような空間とした。4人編成のチームが、簡単な作業を含んだメニューで一定時間を過ごし、閉鎖的な空間での生活で発生する課題を洗い出すのがシミュレーションの目的だ。