秘書席や機器室も交流の場
研究棟の平面計画でも、自然に交流できる空間構成を狙った。例えば、共用機器室の多用だ。日本の大学などの研究施設では、機器を研究室ごとに配置・管理しているケースが少なくない。OISTでは、電子顕微鏡や質量分析装置といった複数の研究分野で用いる研究機器を施設管理者側が共有設備として管理。研究者なら誰でも使えるようにして、それらを共用機器室に配した(写真1-3)。
同じ機器を使いたい異分野の研究者は、自然と共用機器室に集まる。共有設備であれば、外部から一時的に研究に来ているスタッフなども利用しやすい。
秘書のスペースは、日本の研究室のように教授の居室に付属して配備せず、秘書のワークスペースを1カ所に集める方式を採用した。予定の確認をはじめ、教授などが秘書とコンタクトする共通の場を設けることで、教員同士の出会いの確率を高められる。
ほかにも、階段の周りや建物の端部に休憩スペースを設け、コーヒーなどを片手に談話できるようにした(写真1-4)。こうした場所の一部には、ホワイトボードも置いた。コミュニケーションをはずませるための配慮だ。記者が施設を取材した際も、実験台をはじめあちこちに設置されたホワイトボードに、書き込みの跡があり、コミュニケーションツールとして活用されている状況が垣間見えた。
学校側はハード面の工夫に加え、ソフト面からのアプローチでも異分野の研究者が集まる場を創出する。例えば、毎週木曜日にはカフェスペースに研究者を集め、交流機会をつくっている。