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 日本建築ドローン協会(JADA)と日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は共同で、都市部でドローンを安全に操縦できる「外壁調査の専門パイロット」の育成に取り組む。建築基準法や航空法などの関係法令の改正、ガイドラインに対応した講習内容とし、コース修了者には申請制で「技能証明証」を交付する。2023年1月24日には、JADAとJUIDAが連携して開発した「ドローン建築物調査安全飛行技能者コース」の開講式を開いた。

開講式の様子。ミラテクドローン(東京・品川)にスクール開講証書を授与した。写真中央が同社の佐々木康之社長。左は日本UAS産業振興協議会の鈴木真二理事長、右は日本建築ドローン協会の本橋健司会長(写真:日経クロステック)
開講式の様子。ミラテクドローン(東京・品川)にスクール開講証書を授与した。写真中央が同社の佐々木康之社長。左は日本UAS産業振興協議会の鈴木真二理事長、右は日本建築ドローン協会の本橋健司会長(写真:日経クロステック)
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 コースの受講には、次の2点の両方を満たす必要がある。(1)JUIDAが発行する操縦技能・安全運航管理者の証明証を取得していること(2)JADAの「建築ドローン安全教育講習」を修了していること、だ。(1)は22年12月から運用が始まった国家資格「無人航空機操縦者技能証明(二等)」でも代替できる。

 同コース認定校の第1号は、通信工事大手のミライト・ワンの子会社でドローン事業を展開するミラテクドローン(東京・品川)。カリキュラムは計3日間で、座学と実技で構成する。受講費用は1人当たり39万6000円(税込み)。初年度は修了者50人を目指す。

 コース創設の狙いは、都市部の住宅ストックや中高層建物の外壁調査において、赤外線カメラを搭載したドローンの活用を促すこと。そのため講習では、21年9月の航空法施行規則の一部改正で飛行規制の緩和条件とされた「係留」技術の習得を盛り込んだ。

 この改正では、ドローンを飛行させる際の手続きを緩和した。一定の条件で機体を係留すれば、人口密集地などでの飛行でも、国土交通省の許可・承認が不要になる。

実技講習のデモ飛行の様子。写真は「1点係留」。地上部に設置した係留装置とドローンを丈夫なひもなどでつなぎ留めて飛行させる方法だ。安全性は高まる半面、操縦は難しい(写真:日経クロステック)
実技講習のデモ飛行の様子。写真は「1点係留」。地上部に設置した係留装置とドローンを丈夫なひもなどでつなぎ留めて飛行させる方法だ。安全性は高まる半面、操縦は難しい(写真:日経クロステック)
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 講習では、十分な強度を有するひもを用いた「1点係留」と「2点係留」について、係留装置の基礎知識から飛行技術までを体得できる。1点係留は、ドローンに取り付けたひもを地上部で固定して飛行させる方法。2点係留は、建物屋上と地上部の2点でひもを固定してドローンの飛行をガイドする調査手法だ。

「2点係留」によるデモ飛行。2点係留の装置には、西武建設(埼玉県所沢市)の「ラインドローンシステム」を採用した。このシステムに対しては、JADAが「建築ドローン技術評価書」を発行している(写真:日経クロステック)
「2点係留」によるデモ飛行。2点係留の装置には、西武建設(埼玉県所沢市)の「ラインドローンシステム」を採用した。このシステムに対しては、JADAが「建築ドローン技術評価書」を発行している(写真:日経クロステック)
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2点係留の際の建物屋上部の様子。釣りざお状のブラケットを設置し、外壁に沿ってひもを垂らして地上部で固定する。このひもをガイドにしてドローンが飛行するので経路から外れる危険性が低い(写真:日経クロステック)
2点係留の際の建物屋上部の様子。釣りざお状のブラケットを設置し、外壁に沿ってひもを垂らして地上部で固定する。このひもをガイドにしてドローンが飛行するので経路から外れる危険性が低い(写真:日経クロステック)
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