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 建築工事で排出する二酸化炭素(CO2)を削減しようと、建設会社でCO2排出量を算定するシステムの開発が進んでいる。清水建設は、建物施工時のCO2排出量を月単位で可視化できるモニタリングシステムを開発し、国内の全現場で本格運用を始めたと2023年1月30日に発表した。全現場のCO2排出量を自動で算出し、個別に把握することで、CO2排出量を削減する施策の効果検証や現場の状況に応じた改善策の実施などに役立てる。

建物施工時の二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)排出量を月単位でグラフにする。燃料や電力といった使用エネルギー別に見ることもできる(出所:清水建設)
建物施工時の二酸化炭素(CO2)排出量を月単位でグラフにする。燃料や電力といった使用エネルギー別に見ることもできる(出所:清水建設)
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 月ごとの実績は棒グラフ、累積は折れ線グラフで示す。結果は燃料や電力といった使用エネルギー別に見ることも可能だ。国内全ての現場のCO2排出量を社内のデータベースに集約。各現場にいる社員は所属現場のデータを、本社の管理部署は全現場のデータをチェックできる。

 今回のモニタリングシステムでは、3種類のデータを使用する。建設機械の稼働データと土砂・廃棄物の運搬車両データ、そしてタワークレーンや昇降機などの電力使用量データである。これらに日本建設機械施工協会が発行する「燃料消費量・平均稼働時間算定根拠」を基に係数を掛け合わせることで、施工現場のCO2排出量を割り出す。清水建設によれば、施工時に排出されるCO2は主に、建設機械や運搬車両の使用燃料とタワークレーンや昇降機の使用電力によるものだという。

 3種類のデータはそれぞれ、次の3つのシステムから抽出する。建設機械の稼働データの収集は、MCデータプラス(東京・渋谷)が提供する施工管理サービス「ワークサイト」を活用する。ワークサイトはパソコンやタブレットなどに作業内容を入力し、確認や共有ができるものだ。運搬車両データの取得は清水建設が開発した建設副産物総合管理システム「Kanたす」、電力使用量はNTTデータビリングサービス(東京・大田)の公共料金事前通知サービス「公振くん」をそれぞれ使う。

3つのシステムから自動で抽出した3種類のデータを使用する(出所:清水建設)
3つのシステムから自動で抽出した3種類のデータを使用する(出所:清水建設)
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