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 建築確認にまつわるトラブルが、市民の代表を選ぶ選挙を舞台に起こった。2023年1月22日に投開票を終えた京都府亀岡市の市議会議員選挙で、候補者32人のうち9人の選挙事務所で必要な手続きがされておらず、建築基準法違反の状態だったことが京都府の調査で分かった。府や市は違反者を公表していないが、市議の定数は24であるため、当選者のうち少なくとも1陣営の事務所は建基法違反だったことになる。

一般的な建築確認と工事の流れ。仮設建築物については中間検査を適用除外とする自治体が多い。京都府も同様(出所:日経クロステック)
一般的な建築確認と工事の流れ。仮設建築物については中間検査を適用除外とする自治体が多い。京都府も同様(出所:日経クロステック)
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 調査のきっかけとなったのは、告示日の23年1月15日以前に京都府南丹土木事務所に寄せられた匿名の通報だった。同土木事務所建築住宅課は公平性を期すために、全候補者の事務所を調査し、9件の建基法違反を発見した。

 違反が発覚した9件のうち8件で確認申請の手続きをしていなかった。残り1件では、民間の指定確認検査機関から確認済み証の交付を受けていたものの、完了検査後に交付される検査済み証を取得していなかった。同課によると、完了検査そのものが実施されていたかどうかは不明だ。

 手続き違反があった9件の事務所はいずれもプレハブだ。プレハブで仮設の選挙事務所を建築する場合も、建築主は原則として、着工前に確認申請を行い、工事が終わったら完了検査を受ける必要があるが、怠っていた。さらに9件の事務所はいずれも、土地に定着していなかった。

 建築住宅課の浅沼健次郎課長によると、調査を実施した1月18日、9陣営に対して法的な手続きが不足している点と、建物の安全上の問題を指摘。基礎などで建物を土地に定着させる必要があるなどと是正指導した。浅沼課長は、「プレハブも建築確認が必要な場合がほとんどだ。法的な内容で迷ったら問い合わせてほしい。これは供給サイドにも言えることで、顧客に正しい知識を伝えて建物を供給する必要がある」と話す。