神宮外苑地区第一種市街地再開発事業を巡り、周辺住民などから成る原告団が2023年2月28日、東京都に対して事業の施行認可取り消しと1人当たり1万1000円の慰謝料などを求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。判決確定までの施行認可の執行停止も併せて申し立てた。
原告の人数は提訴時点では約60人だったが、その後増え続けており200人を超える見込み(3月15日時点)。周辺住民約40人のほか、米国人コンサルタントのロッシェル・カップ氏、東北芸術工科大学の竹内昌義教授、東京大学大学院の齋藤幸平准教授、東北大学の明日香壽川(じゅせん)教授など学識者が名を連ねる。
原告団長のロッシェル・カップ氏は2月28日の会見で、「これまでに11万7000人を超えるオンラインでの反対署名が集まった。反対の声が増えているのに、都と事業者が急いで進めようとするため、訴訟を起こすしかなくなった。一旦立ち止まり、大切な公共資産である神宮外苑をどのようにすべきか、皆で考えてほしい」と呼びかけた。
同再開発事業では、三井不動産や宗教法人の明治神宮など4者が秩父宮ラグビー場や明治神宮野球場を建て替える。大正時代に国民が献木・献金して植えられた樹木の伐採・移植を伴うことから、一部の都民や国会議員などから計画の見直しを求める声が上がり、ラグビー元日本代表選手、建築・都市計画の専門家などが反対派の支援に名乗りを上げる事態に発展している。