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 積水化学工業は2023年4月14日、自社グループで供給した木造アパート6棟で界壁が小屋裏まで達していない建築基準法不適合が見つかったと発表した。同社はさらに、鉄骨系の戸建て住宅とアパート計2640棟で、防火設備(引き違い窓)の国土交通大臣認定不適合も判明したと明らかにした。これを受けて国交省は同日、同社に対して追加の調査と改修などの対応を速やかに行うよう指示したと発表した。

 界壁の建基法不適合は、堺市内に立つ築約30年の物件の住人からの指摘に基づき、1月に実施した調査で発覚した。小屋裏の界壁に施工する石こうボードが、設計図書の仕様と異なっていた。

木造アパートの小屋裏界壁に関する建基法不適合の例。石こうボードの張り方に不備が生じていた。本来は、小屋裏界壁全面に厚さ12.5mmの石こうボード2枚を施工する仕様だった(出所:積水化学工業)
木造アパートの小屋裏界壁に関する建基法不適合の例。石こうボードの張り方に不備が生じていた。本来は、小屋裏界壁全面に厚さ12.5mmの石こうボード2枚を施工する仕様だった(出所:積水化学工業)
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 同じタイプの木造アパートで現存しているのは、1987年4月から2001年3月までに大阪セキスイツーユーホーム(現・セキスイハイム近畿、大阪市)と東京セキスイツーユーホーム(現・東京セキスイハイム、東京・新宿)などが販売・施工した計147棟だ。これまでに調査を終えた6棟全てで不備が見つかっていることから、影響は全棟に及ぶ恐れがある。

 小屋裏界壁を巡っては、賃貸住宅大手レオパレス21の物件で18年に施工不備が見つかって全国的な問題に発展し、後に国交省が「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」を作成している。

 にもかかわらず、今になって似たような建基法不適合が見つかったことについて積水化学工業住宅カンパニー広報・渉外部は「鉄骨系アパートの施工と管理はガイドラインが出た頃に徹底的に見直したが、既に販売を終えていた木造アパートの点検はしていなかった」と話す。