JR東日本は2023年5月16日、高輪ゲートウェイ駅周辺で進めている「品川開発プロジェクト」による街の名称を、「TAKANAWA GATEWAY CITY」に決定した。区域面積9.5ha、延べ面積約84万5000m2となる複合開発プロジェクトのビジョンを「100年先の心豊かなくらしのための実験場」とし、街の施設や利用者のデータを収集しながらアップデートを続けるスマートシティーの実現を目指す。
同日に開催した報道機関向けの記者会見にはKDDIも参加し、同社がプロジェクトにおける共創パートナーになることを明かした。
「TAKANAWA GATEWAY CITY」は4つの街区で構成する。北側の1街区には高級賃貸住宅を中心とした超高層「住宅棟」が建つ。低層部にインターナショナルスクールを配置し、外国人ビジネスワーカーにも対応する。南側に隣接する2街区に立つ低層の「文化創造棟」は、ライブホールや展示室が公園と一体となった施設で、街のシンボルに位置付ける。
3街区の「複合棟Ⅱ」はオフィスや商業施設の他、エネルギーセンターを併設し、街全体のエネルギーマネジメントを担う。4街区の「複合棟Ⅰ」はNorth棟とSouth棟の2棟で構成し、国際交流拠点として国際会議のためのカンファレンス施設や、ラグジュアリーホテル「JW マリオット・ホテル東京」が入る予定だ。プロジェクトの総事業費は約5800億円を見込む。高輪ゲートウェイ駅を含む4街区は25年3月、他は同年度中の開業を目指す。
今回の発表では、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」として、JR東日本が持つ鉄道の集客データとKDDIの持つ人流データをかけ合わせ、デジタル上でシミュレーションを行ってリアルの街にフィードバックするデジタルツインの取り組みに言及。例えば、オフィスの入退場記録データや鉄道データ、商業データを組み合わせ分析して、快適なくらしや最適な働き方を提案する。
防災面でもデジタルツインを活用する。3D空間に作成した都市モデル上に、実際の街から取得した人流データや設備データをかけ合わせることで、避難シミュレーションや防災計画の検証を行い、安心安全なまちづくりに取り組む。
JR東日本とKDDIは、20年12月ごろからサテライトオフィスの活用をはじめとした「分散型まちづくり」のプロジェクトで協力を続けている経緯がある。JR東日本の深澤祐二社長は、「リアルとバーチャルの強みをかけ合わせてイノベーションを創出したいという思いが一致し、共創パートナーになっていただいた」と説明する。
KDDIは、25年に複合棟Ⅰ(North棟)へ本社機能を移転することも発表した。同社の髙橋誠社長は、「共創パートナーとして新しい街の住人となり、まちづくりに貢献したい。高輪に移動してくる1万2000人の社員データも活用し、データドリブンを進める」と話す。