YKK AP(東京・千代田)が2023年4月21日に明らかにした、玄関ドアの国土交通大臣認定不適合。過去に製造販売していた特定防火設備(スチール採光窓付玄関ドア)の一部に大臣認定仕様に適合しない製品(認定番号はEA-9282)が見つかった。07年に明らかになった問題の是正を遂行せず、新たな不祥事を引き起こしてしまった点で、同社の責任は重い。
該当製品の販売時期は1996年4月~2007年12月。使用先は集合住宅や事務所ビルなど計2105棟(約2万6000セット)に上る。該当製品で認定仕様に適合していない箇所は2つある。1つは、ガラス溝部にバックアップ材を使用していなかったこと。もう1つは、枠の気密材をクロロプレンゴムとしなければならないのに、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を使用していたことだ。
国交省は同日、YKK APに対して、所有者などへの事情説明と改修工事の実施、特定行政庁への報告、再発防止策の取りまとめなどを速やかに進めるよう指示したと発表した。
該当製品は、防耐火仕様の建材で大臣認定の不正取得が相次いで発覚したことを受け、国交省が建材メーカーに対して07年に「防耐火関連の構造方法等の認定に関する実態調査」を実施した際に、大臣認定と異なる仕様で販売していたと届け出たものだった。
同社は07年に国交省へ届け出た後、販売済み製品の仕様で防耐火性能の試験をやり直し、新たな大臣認定を08年に取得することで、認定不適合の状態を是正したはずだった。ところが、同社の品質本部が23年に実施した業務監査で、当時の不適切な対応が発覚した。