国土交通省は2023年5月10日、建設業団体に対して「建設工事の品質管理及び施工管理の徹底について」と題する文書を不動産・建設経済局長名で通知した。建設会社が発注者に虚偽の報告をしていた大成建設や熊谷組の事案を受け、不正の防止と、工事の品質及び施工管理の徹底を強く促した。
通知の背景には、大成建設が札幌市中央区で施工している超高層ビルで23年3月16日に明らかになった鉄骨の精度不良問題と、熊谷組など4社から成る特定共同企業体(JV)が施工している北海道新幹線のトンネル工事で発覚したコンクリートの品質試験に関する虚偽報告などがある。
国交省は通知の中で、発注者への虚偽報告を「建設業界に対する国民からの信頼を大きく損なうものであり、あってはならないこと」と指摘し、「業界全体の信頼を揺るがす重大な問題と認識し、再発防止の徹底等に向け全力を挙げて取り組む必要がある」などと位置付けた。そのうえで、建設業団体に対し、再発防止に向けた適切な指導を求めた。