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 自動運転車のテスト走行が盛んな米カリフォルニア州で、自動運転車の事故が急増している。各社がテスト走行を拡大しているためだ。州交通当局に提出された事故報告書を分析すると、自動運転車に人間のドライバーが戸惑っている傾向が浮かび上がってきた。

 IT企業が集まるシリコンバレーを抱えるカリフォルニア州は、米国で最も自動運転車の公道テストが実施されている地域だ。2018年10月時点で、米グーグル(Google)系のウェイモ(Waymo)や米アップル(Apple)、米エヌビディア(NVIDIA)といったシリコンバレー企業をはじめ、米トヨタ・リサーチ・インスティテュートや米GMクルーズ(GM Cruise)といった大手自動車メーカー系企業、米中のスタートアップ企業など合計60社が当局から公道テストの許可を受けている。

シリコンバレーの公道を走るウェイモの自動運転車
シリコンバレーの公道を走るウェイモの自動運転車
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 そんなカリフォルニア州でここにきて、自動運転車による事故が急増している。州当局は事業者に対して自動運転車が起こしたすべての事故を報告するように義務づけており、その報告数が2016年は15件、2017年は29件だったのが、2018年は10月までで53件に達する。年間ベースで昨年の2倍を上回りそうな勢いだ。

自動運転車が起こした事故件数の推移
時期事故件数
2014年1
2015年9
2016年15
2017年29
2018年(~10月)53

急ピッチで拡大する走行テスト規模

 自動運転車の事故が急増しているのは、各社がテスト走行を急ピッチで拡大しているためだ。ウェイモは2018年10月10日(米国時間)、自動運転車の公道テスト走行距離が累計で1000万マイル(1600万キロメートル)を突破したと発表した。グーグルは2009年から公道テストを開始しており、2018年2月に累計距離が500万マイルに達したと発表した。それからわずか8カ月で累計距離が倍増している。

 自動運転車が起こす事故とはどのようなものか。州当局のWebサイトで公開されている53件の事故報告書をすべて読んで、詳細を分析してみた。

 まずは事業者別の内訳だ。事故件数はGMクルーズが30件と最も多く、ウェイモが12件、これまでに7億9000万ドルを調達したスタートアップの米ズークス(Zoox)が5件と続く。2017年6月に自動運転技術の開発を公表したアップルも2件の事故を起こしている。しかし事故件数だけで何かを判断するのは早計だ。

事業者別の事故件数
事業者事故件数
GMクルーズ30
ウェイモ12
ズークス5
アップル2
ウィーライド.ai1
オーロライノベーション1
ドライブ.ai1
トヨタ・リサーチ・インスティテュート1