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 日立製作所が日経クロステックの取材に対し、PPAPの全面禁止を検討していると表明して大きな話題となった。

 2021年1月21日には「PPAP全面禁止」がTwitterのトレンドワード国内1位になり、ピコ太郎氏も自身のTwitterで懸念(?)を表明した。

全面禁止されたPPAPとは何か

 もちろん、日立製作所が禁止したのはピコ太郎氏のヒット曲「ペンパイナッポーアッポーペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)」ではない。文書ファイルなどをパスワード付きZIPファイル(圧縮ファイル)にしてメールで送り、パスワードを別のメールで送信することである。

 具体的には以下の略とされる。

Password付きZIP暗号化ファイルを送ります
Passwordを送ります
Aん号化(暗号化)
Protocol(プロトコル:手順)

多くの企業が採用している「PPAP」
多くの企業が採用している「PPAP」
(作成:日経クロステック)
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 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)を経て「PPAP総研」を設立した大泰司章氏が命名した。

 大泰司氏や一部のセキュリティー専門家は「文書ファイルなどをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送り、パスワードを別のメールで送信すること」には問題があるとして、以前からやめるよう呼びかけていた。

 ただ、「文書ファイルなどをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送り、パスワードを別のメールで送信する」方法には特段名前が付いておらず、説明するのに難儀していたもようだ。

 そこで大泰司氏は、世界的なヒット曲PPAPにちなんで、若干無理やりながらPPAPと命名することで、この方法に問題があることを啓蒙しやすくしたとみられる。

 実際多くの専門家は、「文書ファイルなどをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送り、パスワードを別のメールで送信すること」を「PPAP」と呼ぶようになった。

平井大臣の発言で一気にメジャーに

 PPAPが広く知られるようになったきっかけは、菅義偉内閣でデジタル改革担当大臣に就任した平井卓也氏の発言である。平井デジタル改革担当大臣は2020年11月24日の記者会見において、内閣府と内閣官房でPPAPを11月26日に廃止すると発表した。

 2020年11月18日にはクラウド会計ソフトを提供するfreeeが、メールによるパスワード付きファイルの受信を12月1日から廃止すると発表。ベンチャー企業では脱PPAPの動きが加速した。

 そして今回、大手の日立製作所も2021年度からPPAPを全面禁止する方向で検討していることが明らかとなった。同社の子会社がPPAPを自動化するツールを販売していたこともあり、検討段階とはいえ同社がPPAP全面禁止という方向性を打ち出したインパクトは大きい。