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中国のAIベンチャーとグーグルの両方と組む理由

AIでは中国のベンチャー、センスタイムと提携しました。狙いはどこにあるのでしょうか。

杉本:様々な複雑なシーンに対応できる自動運転の技術を作り上げるためにセンスタイムと協業していきます。AI技術はすそ野が広い。彼らには、専門的な理論や手法、それを支えるコンピュータークラウドを使いこなすノウハウがあります。ホンダ単独ではスピード感が足りません。センスタイムは香港にコンピュータークラウドを持ち、それを活用しています。

 AIを使えば「認識」の部分だけでなく、「判断」の部分も高度化させることが可能です。人間は視覚情報だけで運転しています。自動運転車でもカメラしか使わず、一般道を運転できるのかどうか。時系列学習で予測精度を向上させ、一般道で高精度地図を使わずに自動運転を実現できるか研究しています。

 AI技術は幅が広く、進化も速い。得意な技術を持つメーカーと協業していきます。センスタイムはAI技術のエキスパートで高い専門性がある。それを活用することで自動運転車の開発を加速したい。

 もちろんホンダにも得意分野があります。従来から培ってきたクルマの制御技術や(システムを)まとめていく技術は強い。それらをセンスタイムの強みと融合したい。

 センスタイムにはAIの深層学習で世界的な権威と呼ばれる優れた人材がいます。自動運転ではコンピュータークラウド技術の活用に加え、ECUに深層学習の成果を効率的に実装することが重要になります。大量の情報を効率的に処理する技術などを活用していきたいと思います。

ホンダは一方で、米グーグル系の自動運転開発のウェイモとも提携しています。こちらはどのような狙いがあるのでしょうか。

杉本:自動運転には個人向けのクルマ以外に、モビリティーサービスというアプローチもあります。ウェイモが目指しているのはそちらの方で、究極的には無人の完全自動運転を志向しています。こうしたクルマの開発を、個人向けの自動運転車と同時に進めるのは(ホンダの)規模的には難しい。

 ノウハウは開示されていませんが、ウェイモの自動運転の実験車はものすごく長い距離を走行してデータを収集し、シミュレーションを繰り返しています。AIの学習はデータがあればあるほど深まりますが、むやみにデータを集めると時間がかかってしまいます。コンピューティングのパワーも必要で、工夫をしないといけない。

 ウェイモの強みは莫大なデータの中で、重要なポイントを押さえていることです。やみくもにデータを取るから強いわけではありません。例えば、高速道路での自動運転では、おさえないといけない運転シナリオがあり、他にも様々なシナリオを考えないといけない。彼らは走り込んでいるので、こうしたシナリオのデータベースを持っています。ホンダとしては様々な走行データをできるだけ効率よく集めたいと思っています。