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とがった製品ゆえに使いにくい点もある

 一方、新ジャンルのとがった製品だからこそ、さらなる改善を期待したい箇所も目に付いた。

 まず、サングラスとしての使い勝手には注文を付けたくなる。BOSE FRAMESではフレームの選択肢が2つしかない。似合うかどうか人を選ぶ面がある。さらにスピーカーが内蔵されたつるは、一般的なサングラスと違って曲げられない。ノーズパッドもフレームとの一体型だ。かけ心地を調整できないため、顔の形に合わないと長時間装着するのがつらくなる可能性がある。購入を検討する人は事前に店頭で装着感を確認した方がいい。

右側のつるの内側に付いた充電端子は金属部分がむき出しなので、夏場に汗が付着して腐食しないかがやや心配
右側のつるの内側に付いた充電端子は金属部分がむき出しなので、夏場に汗が付着して腐食しないかがやや心配
(撮影:稲垣 宗彦)
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 BOSE FRAMESは、ボーズらしい心地よい音を聴けるオーディオ機器であるため、色々な場所で使いたくなる。だが、サングラスであることが利用場所を限定してしまう面がある。薄暗い室内でサングラスを装着することはあまりないだろう。どんなに音を気に入ったとしても、いつでもどこでも常用するオーディオ機器にはなりづらいのだ。インドア派だと活躍シーンが少ないかもしれない。

 音漏れもやや気になる。搭載しているスピーカーは指向性を持っているものの、周囲に音が伝わってしまうのである。街中や広い部屋ではあまり気にならないが、狭い空間や周囲が静かな室内では周囲に結構音が聞こえる。筆者は満員電車の中で使う勇気は出なかった。

 BOSE FRAMESは、モーションセンサーを内蔵しているので頭の向きや動きを検知できる。この機能にスマートフォンのGPS機能などを組み合わせて、音によるAR(拡張現実)を実現する「BOSE AR」という先進機能を利用できる。例えば、移動時のナビゲーションを音でサポートできる。筆者はこの機能に注目しているが、2020年1月時点でBOSE ARの日本語に対応したアプリはほとんどない。

BOSE ARに対応した米ナビセンスのiOS用アプリ「NaviGuide AR」。検索には日本語を使えるが、地図上の表示やアナウンスは英語となる
BOSE ARに対応した米ナビセンスのiOS用アプリ「NaviGuide AR」。検索には日本語を使えるが、地図上の表示やアナウンスは英語となる
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 BOSE FRAMESの2万5000円という価格(税別)は、BOSE ARに対応させるためのセンサーなども内蔵したうえでの設定であるはず。その能力をフルに利用できないのは非常に惜しい。BOSE AR対応製品がさらに増えれば日本語への対応状況が改善されるのかもしれないが、できるだけ早い日本語対応アプリの充実を期待したい。

 新ジャンルの製品だからこその課題はあるが、サングラスとオーディオ機器を組み合わせるアイデア、音質、BOSE CONNECTによる洗練された設定手順など、随所に光る要素がたくさん盛り込まれている。持っていて楽しくなる製品であることは間違いない。

稲垣 宗彦(いながき むねひこ)
スタジオベントスタッフ
高校在学中から、電波新聞社の「月刊マイコン」「マイコンBASICマガジン」でゲームレビューやイベントリポートを中心に執筆し、ライターとしての活動を開始。趣味のゲームを仕事にしてしまったことを後悔し始めた頃に、中学校時代まで熱中していた釣りを再開。近年はアウトドア関連の他、財布やバッグといった小物の記事なども手掛けている。