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 次世代Web技術である「Web3」の要素の1つ、「NFT(非代替性トークン)」。気になっている人は少なくないだろう。ブロックチェーンを利用してデジタルアイテムの一意性(オリジナルであること)を保証するものだ。NFTはブロックチェーン基盤の1つ「イーサリアム」の「ERC-721」という規格で規定されている。

 デジタルアイテムはコピーが容易なため、常に海賊版の問題が付きまとう。NFTであれば作品の一意性を保証できるため、デジタルアイテムの流通を根底から変えると期待されている。NFTの一時的なブームは去りつつあるが、重要であることに変わりはない。

 もっとも、実際にNFTを体験しようとするとかなりハードルが高い。既存のNFTを購入するだけでも越えなければならない壁がいくつもある。さらに「自分だけのオリジナルNFTをつくる」となると、「本当にそんなことができるのか」と思う人もいるだろう。

 実はNFTの作成自体はそれほど難しくない。手順は少し煩雑だが、手順通りに作業すれば誰でもオリジナルNFTをつくれる。NFTとは何かを理解するうえでも、作成手順を知っておくことは重要だと感じている。

 アステリアのエバンジェリストでブロックチェーン推進協会(BCCC)の技術応用部会長を務める森一弥氏は、2022年夏にNFTの作成を体験できるハンズオンを実施した。このハンズオンの内容を基に、最新状況を盛り込んで解説していこう。

MetaMaskをインストールする

 まず、NFTにする画像を用意する。自分で描いたイラストや自分で撮った写真ならOKだ。他人の著作権を侵害するような画像は使ってはならない。ここでは下のようなうさぎのイラストを用意した。

NFTにする画像
NFTにする画像
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 次に用意するのは「ウォレット」というソフトウエアだ。Web3のためのいわば「デジタルの財布」である。「MetaMask」というウォレットがよく使われているので、ここではこれを利用する。

 MetaMaskはWebブラウザー向けの拡張機能が用意されている。ここでは、Webブラウザー「Chrome」にMetaMaskの拡張機能を組み込んでみよう。

 Chromeで「https://metamask.io/」にアクセスして「Download for(Chromeのアイコン)」というボタンを押すと、ChromeウェブストアのMetaMaskのページが開く。右上の「Chromeに追加」というボタンをクリックすると、ダイアログボックスが表示されるので「拡張機能を追加」を押す。

 「MetaMaskにようこそ」という画面で「開始」を押し、「MetaMaskの品質向上へのご協力のお願い」という画面で「同意する」のボタンを押す。「MetaMaskを初めてご利用の場合」という画面が表示されるので、「ウォレットを作成」を選択する。次の画面ではパスワードを設定する。パスワードはくれぐれも忘れないようにしておく。

 次に「シークレットリカバリーフレーズ」を設定する。アカウントのバックアップと復元を行うためのものだ。他人に漏れると大変な情報なので、パスワードと同様に扱う。