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つながる人を分けるInstagram

 現在のInstagramは、「映え」たシーンを投稿する「フィード」、24時間で消える「ストーリーズ」、短尺動画の「リール」、長尺動画の「IGTV」など、ニーズに合わせたコンテンツを投稿できる。高校生はストーリーズをメインに、とっておきの画像をフィードに投稿する。

 ストーリーズには学校での日常や、友人とふざけて撮った写真などを投稿する。また、スタンプ機能を使ってフォロワーからアンケートを取ったり、質問を投げかけたりすることで双方向に交流できる。コロナ禍で人気が上昇したライブ配信もストーリーズの機能の1つだ。

 ストーリーズに投稿すると、フォロワーのアプリ画面の上部にアイコンが表示される。ライブ配信を開始すれば、フォロワーに通知が送られる。ストーリーズの公開範囲はフォロワー限定とは限らないのだが、フォロワーには積極的に知らせる仕組みだ。

 そのとき、今はほとんど交流がない過去の友人たちが気になる。LINEの調査ではアカウントを複数持っている理由として、「つながっている人を分けたいから(中学校の友達/部活関係など)」が男女とも2位になった。そうしておけば、「中学校のときは地味だったのに、高校に行ったらずいぶんイキってる(いきがっている)」などと、悪口を言われる不安もなく、のびのびと投稿できるわけだ。

 若者は「公式」の役割を果たすメインアカウント、仲が良い人だけとつながるサブアカウント、趣味専用のアカウントなど、用途別に複数アカウントを使い分ける。

 私が取材した女子高生は、ごく少人数の仲間だけでフォローし合う非公開のInstagramサブアカウントを持っていた。グループチャットができる「LINEグループ」でやらない理由を尋ねたところ、「この方が気軽」とのこと。チャット形式だと誰かが発言すると「返信しなければ」というプレッシャーを感じる。しかしInstagramなら、コメントを返したいときに返せばいいという空気感があるため、気軽に交流できる。知り合い以外は見ない空間で、気になる投稿にはコメントやメッセージを返し、そうでなければスルーというルールで交流が行われている。

 複数アカウントを持つ理由の1位は「趣味によって分けたいから」だった。同じ趣味の人とつながり合えば、趣味に関する投稿を繰り返しても一緒に楽しんでくれるし、見るときも同じ趣味の投稿ばかりが流れてくるようになる。

 趣味をメインのアカウントに投稿しない理由は、興味のない人への気遣いだ。特にマニアックな趣味の場合、リアルの友人に知られたくないケースもある。趣味のアカウントを作れば、SNSに自分だけの快適な空間が作れる。

 女子高生は「芸能人・有名人のフォロー専用で使いたいから」が、男子高生は「見るだけの専用アカウントが必要だから」が3位となっている。芸能人や有名人でInstagramを活用している人は多く、フォローするとプライベートな一面が垣間見える。しかし、メインのアカウントでフォローすると、他のファンが自分のアカウントを見に来るかもしれない。

 プライバシーを守る狙いもあって、フォロー専用アカウントを使うのだろう。男子高生の「見るだけの専用アカウントが必要」との回答も同様に、見たいユーザーはいるのだがフォローしていることをリアルの友人に知られたくない、同じアカウントをフォローしている人にこちらの素性を明かしたくない、などの理由が考えられる。

 LINEの調査によると、Instagramで2つ以上のアカウントを持っている女子高生は6割、男子高生は3割強。女子の方が複数アカウントを使いこなしていた。