全2947文字
PR

 ではiPhone 13 miniの場合はどうなっているのか。筆者は今回、MNPにより他社からauに転入し、ポスターの内容通り「お客様負担額1円」で購入。その過程で値引きの仕組みを販売員に確認してみた。まず店頭値引きの考え方については、第2世代iPhone SEに近かった。auのiPhone 13 miniの販売価格は10万1070円。ここから3万2509円を差し引き、6万8561円が端末代金のベースとなった。

 第2世代iPhone SEのパターンと異なっていたのはその先だ。MNP利用者向けの2万2000円の割引も、あるにはある。だが、第2世代iPhone SEのように端末代金の6万8561円から直接差し引くわけではなかった。

 今回の値引きを受けるには、将来の下取りなどを前提に端末を安く購入できる「端末購入サポートプログラム」を利用する必要があった。具体的にはauの「スマホトクするプログラム」やNTTドコモの「いつでもカエドキプログラム」、ソフトバンクの「新トクするサポート」のことだ。

 今回利用したスマホトクするプログラムは、auが将来の下取り価格を残価金額として設定し、購入者は本体価格から残価額を差し引いた額を月々の分割払いにする。この支払いが終わるタイミングで端末を返却することで残価金額の支払いが不要になる。返却しない場合は、残価金額を改めて分割で支払っていくことも可能だ。

筆者が購入したiPhone 13 mini
筆者が購入したiPhone 13 mini
[画像のクリックで拡大表示]

 筆者の場合、iPhone 13 miniに4万6560円の残価金額が設定された。この金額を前述の端末代金6万8561円から差し引くと2万2001円となる。この金額をおよそ2年かけて分割払いする。

 ここでようやく、通信契約にひも付く割引額の2万2000円が関係する。端末の月々の支払額に対して、やはり2万2000円を分割して適用し、相殺していくのだという。つまり端末代金2万2001円の分割払いが終了する段階で、総額2万2000円の値引きを受けた格好になる。結局、2年間は差し引き1円で端末を使えるが、2年後に端末を返却するか、残価を支払う必要がある。だからこそ携帯各社は「お客様負担額」「支払総額」としているわけだ。

 以上がiPhone 13 miniが格安になるカラクリである。前述した第2世代iPhone SEの「一括販売」に比べて値引きの仕組みは複雑で、そもそもMNPを利用して他社に乗り換える必要があった。それでも、iPhoneの最新機種を2年間はほぼタダで使える点にメリットを感じるユーザーは少なくないだろう。今回訪れたスマートフォンの販売コーナーでは来客が途切れない様子だった。筆者自身もこれまでiPhoneの購入や下取りを繰り返してきた経験を踏まえ、「最新機種をなかなか安い費用で手に入れた」と納得している。