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 百聞は一見にしかず。まずは下の写真を見ていただきたい。筆者(右)の奇妙な姿に思わず笑ってしまうかもしれないが、そこはグッと堪えて読み進めてほしい。

4人で円形ブースに入り、1人ずつ椅子に座る。体験者は天井からぶら下がる、洋梨のような形をしたデバイスにつながる細長い棒の先にあるあめ玉を口に入れてなめる
4人で円形ブースに入り、1人ずつ椅子に座る。体験者は天井からぶら下がる、洋梨のような形をしたデバイスにつながる細長い棒の先にあるあめ玉を口に入れてなめる
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 これは筆者が先日味わってきた、生まれて初めての体験である。この写真だけ見せられても、筆者が何をしているのか、さっぱり分からないだろう。

 だが最初に言っておきたい。筆者はこの体験ができて、本当に幸運だった。めったにできる経験ではない。

 何をしているのかはあえて後述するとして、まずは体験の流れを説明する。薄いカーテンで仕切られた円形のブースに、4人1組で入る。筆者の場合、他の3人は全員、たまたま同じ列に並んでいて、偶然居合わせた人たちだ。4人は1人ずつ、椅子にゆったりと腰掛ける。4人の椅子は円に沿って四方に配置されている。

 ブースの天井からは椅子ごとに、洋梨のような形をしたデバイスがケーブルにつながってぶら下がっている。先端には細長い棒があり、先っちょに青色のあめ玉が1個くっ付いている。

 体験の直前に、オレンジ色の耳栓を渡される。これで外界の音を遮断する。スタンバイOK。後は心の準備ができたら、あめ玉を口に入れる。目を閉じた方がいいが、カーテンの向こうにあるディスプレーの映像を見ていても構わない。

 体験者は4分間、あめ玉をなめる。その間、棒の先が口の中で音と共に振動し、食感とは違う感覚(触感)を同時に「あじわえる」。舌であめをなめ続けると、音や味、匂い、質感など、様々な感覚が口の中や舌の上で混ざり合っていく。