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 筆者は主にプロ野球やプロサッカーといったスポーツ、モータースポーツ、飛行機、女性アイドルのライブなどを趣味で撮影している。どれも被写体が素早く動くので、オートフォーカス性能が高く、連写撮影枚数の多いカメラを求めていた。その欲求を満たす機種がニコンの最高級ミラーレスカメラ「Nikon Z 9」だ。2021年12月に発売され、これ以上の道具はないと思い飛びついた。

 Z 9は人気を博しており、注文が殺到しているという。現在注文すると入荷時期が2023年2月ごろになる、としている店舗もある。筆者はZ 9の予約開始から1週間後の2021年11月9日に予約したところ、2022年3月末にようやく購入できた。価格は62万8650円(税込み)だった。

ニコンがミラーレスカメラのフラグシップとうたう「Z 9」。大手家電量販店での実勢価格は70万円前後(税込み、2022年5月9日時点)だ。 写真のレンズは別売り
ニコンがミラーレスカメラのフラグシップとうたう「Z 9」。大手家電量販店での実勢価格は70万円前後(税込み、2022年5月9日時点)だ。 写真のレンズは別売り
(写真はスタジオキャスパー、記載がないものは以下同)
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 Z 9を使ってみて最初に感じたのは、オートフォーカスの性能がかなり良いこと。特に被写体検出機能が素晴らしい。これは人物の瞳など被写体の撮影に適した場所に自動的にピントを合わせる機能だ。現在販売されている多くのカメラがこの機能を備えているが、Z 9は認識できる被写体の種類が豊富。具体的には人物、犬、猫、鳥、自転車、バイク、車、列車、飛行機の9種類に対応する。

 列車の撮影であれば、列車の前面部分を瞬時に認識し、その部分にオートフォーカスのカーソルが動く。その状態でシャッターボタンを半押しするか「AF-ON」ボタンを押せばピントが合う。列車が手前に近づいてくる状況であれば、それに伴ってピントを合わせ続けるので、何も考えずにシャッターを押し続けるだけでよい。

 Z 9の被写体検出機能はオートフォーカスが苦手な場所でも使いやすい。例えば、女性アイドルのライブ撮影の場合は屋内で暗い会場での撮影になる。だが、それでも的確に顔や瞳をしっかりと検出しており、ピントがぴったり合った写真を簡単に撮影できた。

 被写体検出機能そのものは、筆者が以前使っていたニコンの「Z 6II」にもあった。検出する被写体の種類はZ 9の方が多いものの、正直なところ、人物や鳥などの被写体を検出する精度の差は感じない。ただしZ 9は検出するまでの時間が圧倒的に短く、カメラを動かして素早い被写体を追うような状況でも失敗が少ない。

カメラが列車と認識すると、列車の部分に白い枠が表示される(左)。そのままシャッターボタンを半押しするか「AF-ON」ボタンを押すと、枠の位置にピントを合わせる。列車の動きを追尾するのでそのままシャッターを押すだけでよい(右)
カメラが列車と認識すると、列車の部分に白い枠が表示される(左)。そのままシャッターボタンを半押しするか「AF-ON」ボタンを押すと、枠の位置にピントを合わせる。列車の動きを追尾するのでそのままシャッターを押すだけでよい(右)
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寄ってきたハトを慌てて撮影した1枚。とっさにカメラを構えて撮影したが、ハトの目にピントが合っている
寄ってきたハトを慌てて撮影した1枚。とっさにカメラを構えて撮影したが、ハトの目にピントが合っている
(撮影は筆者)
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