Z 9は、有効画素数4571万画素でフルサイズの積層型CMOSセンサーを搭載しており、最大8256×5504ドットの高精細な写真や動画を撮影できる。WebやSNS(交流サイト)などに写真を掲載する場合は、必然的に写真を縮小して使用することになるが、それでも輪郭がはっきりとした描画になり写真が美しい。
最近のファームウエアのアップデートにより、8.3K・毎秒60フレームの動画撮影も可能になった。ただし、このモードの動画データは膨大だ。編集もハイスペックなパソコンが必要となり、初心者には扱いが難しそうだと感じる。
連写性能は「すさまじい」の一言だ。RAW撮影でAF(自動焦点)・AE(自動露出)などを使いつつ、1秒間に最大20枚の連写ができる。本体に搭載するバッファーメモリーが多いのか、10~15秒程度はその連写速度を維持するので、決定的な瞬間を逃さない。例えば、時速320キロメートルで走るレーシングカーの場合、1秒間に約89メートルも動く。秒間20枚で連写すれば4~5メートルおきに撮影できるので決定的瞬間を逃しにくい。
また、「ハイスピードフレームキャプチャ+」という機能を使うと、写真サイズは小さくなるが最大で秒間120枚の連写も可能だ。動きの速い被写体を的確に捉えるのに向いている。
一般的なミラーレスカメラの場合、メカシャッターと電子シャッターの双方を備えるが、Z 9は電子シャッターのみ搭載する。電子シャッターには一般に、激しく動いている人物や物体を撮影するとゆがんだり変形したりして写る「ローリングシャッター現象」という弱点がある。CMOSセンサーが水平方向の上部から順に露光する仕組みで、最初の露光と最後の露光に時間差が生じるために発生する現象だ。例えば高速で回転するファン、飛行機やヘリコプターのプロペラ、野球のバット、テニスのラケットなどを撮影すると、画像のゆがみが目立ってしまう。
そこで、多くのミラーレス一眼カメラはメカシャッターも持ち、双方を併用することでその弱点を補っている。Z 9の電子シャッターは信号処理が高速なセンサーを搭載することで、ローリングシャッターの発生を抑えているという。実際にZ 6IIの電子シャッターと同じ条件で高速に回転するファンを撮影したところ、ゆがみや変形がほとんど発生していなかった。