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災害や事件が起きるとデマが流れやすい

 ネットのデマが最も多く発生するのは災害や事件が起きたときです。人々の心に不安があると、さらに不安をあおるような投稿に注目してしまう心理や、災害時の最新ニュースをTwitterから得る人が増えたことが要因でしょう。

 2016年4月に起きた熊本地震では、「地震のせいで動物園からライオンが放たれた」と虚偽のツイートを行った人が偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。この人は「釣り」投稿であることを匂わせていたのですが、ライオンが街をさまよう画像のインパクトもあり、真実と勘違いしたユーザーによって2万回以上もリツイートされました。結果、熊本市動植物園に問い合わせ電話が殺到するといった事態を引き起こしてしまったのです。

 熊本地震では、「イオンモール熊本で火災が起きた」というデマも流れました。この投稿には大手テレビ局も釣られてしまい、番組で情報を紹介してしまいました。事実確認しなかったテレビ局にも問題はありますが、情報が錯綜する災害時に、釣り投稿を行うなんて悪質ですね。

 心を揺さぶる凶悪な事件が起きたときも、ネットでは犯人捜しが始まります。被害者のSNSが拡散され、そのつながりからめぼしい人を見つけて「これが犯人の顔写真」と投稿する人が後を絶ちません。これは名誉毀損に当たる行為です。そして一度投稿した情報はリツイートされ、まとめサイトに記事にされ、時間とともにまるで真実のようにネットに残ってしまうのです。

 SNSには「エコー・チェンバー現象」と呼ばれる特性があります。エコー・チェンバー(Echo chamber)とは、日本語では「反響する部屋」の意味で、自分と同じ意見を持つ人と交流を繰り返すことによって、自分の考え方が正しい、真実なのだと思い込んでしまう現象です。似たような意見を持つ人とつながりがちなSNSでは、広く情報を得ているつもりでも、偏った意見しか目にしていないことがあるのです。

 これは災害や事件だけでなく、政治に関するニュースでも起きがちな現象です。似たようなポリシーを持つ人とだけつながると、自分の考えに沿ったツイートを信じ込んでしまい、正誤の判断ができず拡散してしまうことがあるのです。反対に、自分たちと異なる意見に対して攻撃的になってしまう危険性もあります。