両手で持ってキーボードを親指で打つ「親指入力」などと呼ぶ入力方法が、大変やりやすいことも驚きだった。親指入力というと、かつてのPDA(パーソナルデジタルアシスタント)である「HP200LX」の定番入力スタイルだった。HP200LXユーザーにとって使いやすい入力スタイルで、この入力スタイルを「HP打ち」と呼んだ人もいたほどである。タッチパッドも、両手持ちで使いやすい位置にある。
HP打ちがしやすいフルスペックのWindowsが動く端末が、HP200LXの発売から25年後にリリースされるとは思わなかった。試しに、GPD MicroPCとHP200LXを並べてみると、GPD MicroPCの方が横幅が狭いことが分かって、また驚いた。MS-DOSが動作するモノクロディスプレー端末より、Windows 10が動く6インチPCの方が横幅が狭いわけで、モバイルの進化を感じた瞬間だった。
GPD MicroPCは、基本的にはあらゆる作業をこなせるオールマイティーなPCではなく、ポテンシャルを理解して自分の用途に合わせてカスタマイズして使うPCだろう。
GPDは、対象ユーザーの例としてネットワークエンジニアを挙げている。作業スペースが限られている場面でフルスペックのWindowsを使いたい、シリアルポートもLANポートも必要、といった作業条件が発生する可能性があるネットワークエンジニアにとって、GPD MicroPCは便利だろう。
ただし、モバイルユーザーにとっても役立つ場面はあるはずだ。例えば、ハイスペックなノートPCをメインで使い、GPD MicroPCを予備機として持つような選択肢が考えられる。
出張が多い人ならば、豊富なポート類を生かして、有線LANしか無いようなホテルや、HDMIでモニターに出力したいような場面でも重宝するはずだ。特にHDMIは4K出力に対応しており、高解像度で出力可能だ。
いろいろな可能性のあるGPD MicroPCは、ネットワークエンジニアだけではなく、モバイルユーザーの夢も詰まった、毎日持ち歩きたくなるPCだと感じている。