コロナ禍で影響を受けた業種の1つが、音楽や演劇などのショービジネスだ。コンサートホールや舞台などの空間に観客を集めることが難しくなり、公演やイベントの開催が相次いで中止になった。
リアルイベントを補完しているのが、動画のライブ配信だ。動画配信サービス「YouTube」のほか、Facebookや写真共有SNS(交流サイト)のInstagramなどが用いられている。
俳優が自宅などからライブ配信をしてファンを楽しませた例もある。俳優の石田ゆり子が2020年5月31日に行ったInstagramのライブ配信では、星野源や斎藤工、吉田羊など豪華なゲストが登場し、視聴者数が10万に達した。著名な俳優が一般のユーザーのようにInstagramでライブ配信することに、親近感を覚えた視聴者も少なくなかっただろう。
ライブ配信の専用プラットフォームも
ライブ配信に機能を特化したプラットフォームも登場している。視聴者は専用アプリを介してアーティストやインフルエンサーによるパフォーマンスを楽しめる。そこで活動するアーティストなどを「ライバー(ライブ配信者)」と呼び、「ギフト」というアプリ内の投げ銭によりライバーに報酬が発生する仕組みだ。
ライブ配信数は増加しており、視聴者の獲得競争が激化している。例えば、台湾M17 Entertainmentが手掛けるライブ配信サービス「17LIVE(イチナナ)」では、日本でライブ配信を実施したライバーの数が2020年3月から4月にかけて約5倍に増えた。
同種のライブ配信サービスには、ディー・エヌ・エー(DeNA)の「Pococha(ポコチャ)」やSHOWROOM(ショールーム)の「SHOWROOM」などがある。
18万人がチケットを購入した無観客ライブ
ライブ配信で興業として成立する公演はまだ少ないようだが、サザンオールスターズの例は突出している。サザンは2020年6月25日、横浜アリーナ(横浜市)で約2時間の無観客ライブを行った。このライブは8種類の動画配信サービスを使って配信され、3600円のチケット購入者は約18万人に上った。総視聴者数は推定で約50万人という。使用した動画配信サービスは、AbemaTVの「ABEMA」、GYAOの「GYAO!」、LINEの「LINE LIVE」などだ。