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大賞は1993年リリースの「ロマンスの神様」

 TikTokには、以前流行した曲が突然リバイバルヒットする現象がある。2022年上半期のトレンド大賞が広瀬香美の「ロマンスの神様」であることが象徴的だ。

 「ロマンスの神様」は、「タイガの振り付け」というアカウントを運営するダンスクリエーターが振り付け投稿をしたことで、まねをして踊るユーザーが続出した。Bytedanceによると、「ロマンスの神様」を利用した動画の総再生数は16億回を超えているという。「ロマンスの神様」は1993年にリリースされた楽曲で、大人なら誰しも知っているヒットソングだ。若い世代にとってはどこかで耳にしたことがある楽曲で、なじみやすかったのかもしれない。

大賞を受賞した広瀬香美さんは「長い年月を経て、また改めてTikTokを通して10代、20代の方たちにも愛していただけるとは本当に音楽家冥利に尽きます」とコメントを寄せた
大賞を受賞した広瀬香美さんは「長い年月を経て、また改めてTikTokを通して10代、20代の方たちにも愛していただけるとは本当に音楽家冥利に尽きます」とコメントを寄せた
(出所:Bytedance)
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 「タイガの振り付け」は、他の楽曲にも振り付けを行い、TikTokでの流行を生んでいる。「TikTok2022上半期トレンド」にノミネートされた曲では、1993年にOriginal Loveが発表した「接吻」(せっぷん)がある。

 「タイガの振り付け」発ではない平成の楽曲も人気だ。きゃりーぱみゅぱみゅが2013年にリリースした「インベーダーインベーダー」、ブラックビスケッツが1998年にリリースした楽曲をカバーしたKlang Ruler「タイミング ~Timing~」が今回のトレンド30選にノミネートされている。

「TikTok2022上半期トレンド」ノミネート30選
「TikTok2022上半期トレンド」ノミネート30選
(出所:Bytedance)
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 懐かしい楽曲の一部分がTikTok内で流行し、その後サブスクリプションの音楽配信サービスでヒット、再販へとつながるケースはこれまでにもあった。

 2018年には、倖田來未(こうだくみ)が2010年に歌った「め組のひと」がTikTokで流行し、音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」でランキング1位を獲得した。「め組のひと」はもともとラッツ&スターが1983年に発売した楽曲で、カバー曲のリバイバルヒットだ。この流行を受けて、倖田來未の「め組のひと」を高速アレンジしたTikTok versionもLINE MUSICで配信された。

 1970~80年代の楽曲も注目を浴びている。1979年に発売された松原みきの「真夜中のドア~stay with me」は、2020年10月にインドネシア出身の歌手であるRainych(レイニッチ)がYouTubeにカバーを投稿したことをきっかけに、海外のTikToker(ティックトッカー)が投稿、徐々に流行が広がった。